手の平のマーメイド

 

 炎天下の真夏にプールで2人きり。何の変哲も無い県立高校のプールだが、一緒にいるのが同い年の女の子で、しかも可愛いとなれば気の持ちようも変わってくる。
 独占状態だ。プールも彼女も。
 だから何をしてもいいというわけでは勿論無い。勿論無いのだが、何をしてもいいという状況を目の前にして何もしないでいられるほど枯れてはいない。
 よって、この所。俺は日常的なセクハラに精を出す毎日を送っていた。
「うん。前より大分マシになってきたな」
「あ、うん……ありがとう。んっ――ん、その」
「そうそう、膝から下じゃなくて足全体で水を蹴る。うん、もうちょっと太もも動かすのを意識して」
「は……はい」
 黙々とバタ足の練習をしていた彼女――平井由実からビート板を取り上げ、俺の腕で華奢な上半身を支える。顔は上げさせ、腕を伸ばさせて、こちらは彼女の胸元と腰の辺りを下から抱き上げるように。
 当然ながら体は密着し、柔らかい感触が実に心地良い。少なくとも俺にとっては。
「ふぅ。じゃあ、今日はこれで練習終わりにしよう」
「ん――っ。う、うん。んッ! ぁ、あ……また、胸」
「水泳は全身運動だからな。ホラ、少し筋肉が張ってる」
「んぅ……あ、あっ。ん、んぁ」
「そのまま、力抜いて。な?」
「うぅ……は、はい。ん……ふぅ」
 水の中、プールサイドに近い場所で彼女を立たせ、後ろから抱き付いて上半身を優しく撫でる。腕や肩、脇腹から胸へ。筋肉の状態を確かめるように触り始め、だが次第に別の意味で体を堪能するように。お腹を擦り、水着に包まれた胸を揉む。
 以前はギュッと目を瞑り、ただ硬直して耐えるだけだった由実も、最近は言われるままに力を抜き、俺の愛撫を受け入れるようになった。こうなると俺の方も愛着が沸いてくる。自分本位に乱暴だった手つきも、むしろ彼女を感じさせる為に動くようになった。まぁ、行為そのものが甚だ自分本位ではあるのだが。
「よっと。由実、こっち来て」
「あ……はい。――ッ?」
「口で、してくれ」
「あ、ぅ。うん……んっ。ん、んぅ……んむ。ちゅ」
 俺だけ水に上がってプールの縁に腰掛け、由実を呼んでおもむろに相棒を取り出す。既に八分勃ちといった所だ。目を丸くした彼女だが、既に幾度も見せられている物ではある。俺が何を言わずとも、この位置関係で要求されている事は理解していたようだ。
 そっと細い指を伸ばしてペニスに触れ、舌を伸ばしてチロチロと舐め始める。たどたどしいが、初めて咥えさせた時よりもずっと心が篭っているフェラチオだ。
 由実のスイムキャップを取り、湿った髪を優しく梳くように撫でる。やはり嬉しそうとはいかないが、それでも目付きはトロンと緩み、息遣いにも落ち着きが出てきた。
「そろそろ出すぞ。プールに零さないようにな」
「ん――んむ。ん、んぅ……ちゅ。んむ、んーっ」
 彼女はこちらの言葉をちゃんと把握し、ペニスを中ほどまで口の中に入れた。そしてゆっくりと顔を前後させながら、亀頭から裏スジ、時にカリの辺りを丁寧に舐める。
 全部俺の教えた通りだ。水泳はイマイチ上達しないが、こっちは上手くなってきた。それを嬉しいと思えば、それだけ衝動も大きくなる。そっと由実の頭を両手で掴み、彼女がその意図を察した所で射精。
「んっ、ん……んむ。んー、ん、ちゅ……」
 勢い良く放出した精液が、温かい由実の口の中を汚す。彼女はそれをちゃんと受け止め、そして潤んだ目で俺を見上げた。
「うん。よしよし、出してみて」
「んんっ、ん……ぇ。はぁ、ハァ――はぁ。は、い……」
 顎の下に手の平を持ってきて、由実が口の中に出された物を吐き零す。ドロリ、と粘つく精液が彼女の唾液と混ざり、糸を引いて白い手の平に落ちた。これでいいですか? と真っ赤な顔で俺を見上げる由実は、だがどこかボンヤリとしていた。逆らえないという諦観というより、何となく飼い主に褒められるのを待っている大人しい子犬のようだ。
「うん、偉いな。良く全部受け止めた。じゃあ、今度は、それを舐めて飲み込んで」
「は……い。んっ、ん――、んく」
 やんわりと頷き、やはりチロチロと小さな舌を伸ばして手の平の精液を由実は舐め取る。苦さと屈辱に顔をしかめる事も無く、淡々と、プールに零さないよう丁寧に。
 その彼女のボウッとした表情は、決してそれを嫌がってはいない。少なくとも俺の目にはそう映った。
 目ん玉が曇りまくっているだけかもしれないが。

 水泳部。そこに所属する部員は男女合わせて14人。
 3年生の6名が受験の準備の名の下に部活動を辞めたとしても8人は練習に参加して然るべきだ。が、一学期中に行われたインターハイ地区予選で見事に全員が敗退した所で数名が成仏しない幽霊と化した。
 まぁ、驚くには値しない。ウチの水泳部は凡そ毎年こんな感じである。大会云々とか自己鍛錬とかでなく、ただのんびりと泳ぐのも悪くない程度の連中ばかりなのだ。大抵が中学校での厳しい練習に嫌気が差し、でも水に浸かるのは嫌いじゃないという奴らである。
 よって顧問も、怪我さえしなければ良いというスタンスで、そもそも水泳に何の縁もない老教諭だ。プールの鍵の管理すら部員任せである。実はそれだけで不祥事なのだが、まあ口にしなければ済む事だ。
 そんな我が校の水泳部で、最後に残ったのが俺と平井だった。俺はただ金の掛からないプールで自由に泳ぐのが好きという理由だが、彼女の方は少しばかり別の理由が合った。
 カナヅチなのである。泳げないのだ。
 そこで全く厳しくないと評判の水泳部の門を叩いたのが7月初めの事である。
 そもそもは体育で水泳の授業が始まり、そこで余りにも泳げない事が判明。ションボリする本人を前に教師は頭を抱えた。そこで帰宅部だった彼女に、体育教師が水泳部を紹介したのだ。「泳げなくても滅多に困る事は無いが、少しでも泳げるようになりたいのなら」と。
 そういう経緯で平井は2年生でありながら遅い入部を果たした。
 最初の内は3年女子の先輩に手ほどきを受けていたのだが、その先輩がまた適当な人で、ロクにバタ足も伝授しないままに幽霊と化し、後を引き継いだのが俺という訳だ。
 こうして2人きりの水泳教室が始まる。
 俺も誰かに泳ぐ事を教えるのは嫌いじゃない。それ自体は真面目にやった。水の中で目を開ける所から始め、全ての基礎である"けのび"を教え、泳ぐ為の体の動かし方を一つ一つ、身振り手振りで教えていった。
 それがやがて手取り足取りになり、腰を取り胸を取るに至ったのは、平井由実があまり優秀な生徒ではなかった事が一点。そしてもう一点、大変に素直で、何でも言う事を聞いてしまった所に問題があった。
 初めて体に触れた時は竦んでしまったのだが、その頃はまだ常識的な練習の範囲内だったので、顔を赤らめつつも彼女は耐えた。が、無駄に俺の手が体に触れるようになると、流石に困惑した。筋肉の様子を見るとか、疲労度を確かめるとか理由をつけては脇腹や腰、そして素肌が剥き出しの肩や腕、太ももを撫で擦られたのだ。
 おかしいと思って然るべきである。平井も明らかに困っていた。が、そこで何も言えずに黙って耐えてしまうのが平井由実という女の子だった。
 クラスこそ同じになった事は無いが、普段から大変に大人しく、いつも教室の隅でひっそりと佇んでいるような人物なのである。穏やかでおっとりしていると言えば聞こえは良いが、裏を返せば根暗で自意識が薄い。あらゆる事柄に対して受身で、流れに逆らって歩くという発想が、内心で浮かんでも表には出せない性格なのである。
 地味で目立たないから注目を浴びる事は無かったが、美人さんだ。やや垂れた目が可愛らしい顔立ちで、ほっそりした華奢な手足に意外と肉付きの良い胸や腰。そして白く滑らかで綺麗な素肌。
 これで悪い男にでも捕まったら、なす術無くモノにされてしまうだろう。
 そして事実、彼女はなす術無く俺に全てを許してしまった。
 尻を撫でられ胸を揉まれても怯えるだけで抵抗しないのだ。調子に乗った俺が行為をエスカレート。水着の肩紐を下げて乳房を露出させ、生乳を揉み、乳首を吸った。こちらもペニスを出して握らせ、しごかせ、精液を体にかける。やがて咥えさせてフェラチオを教え、当然の帰結として処女を奪った。
 喪失と破瓜の痛みに耐えかねてポロポロと涙を零し、それでも逃げず叫ばず俺に従ってしまうのだから困った物である。青い顔をしながらではあるが、翌日以降もちゃんと部活に顔を出した辺りも含めて。
 以来、俺は平井に対する一切の遠慮が無くなった。水泳の教授だけは真面目にやるが、練習の後は当たり前のようの顔で彼女の体を撫で回し、更衣室に連れ込んでセックスに及ぶ。
 勿論、由実の方だって最初から淡々と受け入れたわけではない。抱く度に鼻を啜って涙を流し、虚ろな顔で蹂躙された股間を見つめた。が、そこで妙な適応に至ったのが、ある意味で彼女の強みなのかもしれない。
 とても困った顔で俺を見上げるのは今でも健在なのだが、要求自体には素直に――つまり嫌悪感を見せず、力を抜いて応じるようになったのである。事後に泣くような事もなくなり、性感が高まると自分からそっと抱きついてくるようになった。
 内心でどう思っているかは不明だが、夏休みに入った今、彼女は休む事無く部活に参加し続け、そして俺に抱かれて帰る。
 それが、現在の俺と平井由実の関係の全てだ。

「あ……あの。だ、誰かが来たら、その、んッ! あ、あぁ、んッ」
「ちゃんと膝伸ばして。そう、腰を上げる」
「んッ、あぅ。あ……こんな、所でなんて。あ、ん、んぁ……」
「もう少し、足を開いて。うん、ちゃんと立っててな」
「あ、やぁぁ。んッ、は……はい。あ、ぁ、あッ!」
 フェラの後、手に吐かせた精液を飲ませ、手の平から指の一本一本に至るまで丁寧に舌で舐めさせた後、俺は由実をプールから上げた。そして今度はプールサイドのフェンスに手を付かせ、上半身をやや前傾させて立たせた。学校指定の野暮ったいスクール水着に包まれた丸い尻を突き出させる感じだ。
 そこを後ろから撫で回す。白く滑らかな太ももから割と安産型の、だが張りのある尻にかけてゆっくりと。一応は練習後のマッサージという名目をつけてあるので優しく揉み解す感じで。
 我が校のプールは校内の敷地の一番奥にある。その向こうは小高い丘になっており林が広がっているので一般の通行人が訪れる事は無い。だがプールのフェンスと学校の敷地を囲うフェンスとの間には4・5mほどの隙間があり、運動部が学校一周のランニングで通り過ぎる事はあるのだ。一段高くなっているとは言え、フェンスに張り付く由実が後ろから何をされているかは一目瞭然であろう。
 だから彼女は、俺よりもむしろ人目に付く事を気にして、チラチラと振り返っては赤い顔でこちらを見上げて来る。
「あの、こ……こんなの見られたら、んッ! あ、あンっ。あ、やぁ……」
「由実。ちゃんと立って、ホラ。膝曲げない」
「んーっ。あ、あぁ。だめ、私……んっ! あんッ」
 眉毛と目尻が限界まで垂れ下がり、オズオズと振り返っては俺を見つめる由実。その顔が余りにも可愛くて、つい嗜虐心がわく。伸ばした指でそっとお尻の割れ目を上からなぞり、そのまま股間にまで到達。塩素を含んだ水を滴らせる水着越しに、中指でゆっくりと彼女の花弁を撫でる。
 やがて次第に由実の声質が変わり、甘く蕩けるような響きが混じるようになった。濡れて尚サラリとするナイロンとポリウレタンの布地に、ややヌルリという粘性の感触が加わってきてもいる。感じているのだ。この状況で。しかもいつもより早い。
 他の誰かに見られるかもという緊張感で、むしろ神経が過敏になっているのかもしれない。
「濡れてるな。興奮してる?」
「んッ、んぁ。ち、違……っ! わ、私、そんな事……ん、あ、あぁッ」
 指摘されて焦ったのか、由実はフェンスの金網をギュッと握って体を固くする。だが逆に愛液の分泌量は増えて、こちらの中指に絡み付いてきた。俺は先端でなく、指の腹を割れ目にピタリとつけるように当て、殊更ゆっくりとそこを撫で擦る。
「あ、あぁ。や、ぁぁ……っ。んぁ、あッ! わ、私……何で、ん、んあぁぁ」
 ホンの数秒の後、彼女の蜜は更に増え、プールサイドに押し殺したような、だがはっきりと感じている弱々しい悲鳴が響く。かなり良くなってきたようだ。でも、もっと良くなって貰おう。
「由実、手ぇ離して。こっちに、そう。体上げて」
「え……ぁ? は、はい。んっ、んぁぁ。ハァ、はぁっ」
 俺は股間への刺激を一旦中止して、由実の手をフェンスから剥がさせた。そして彼女の上半身を起こし、後ろから抱き締めて胸を揉む。
 先ずは優しく、表面を軽く擦るように。そして由実が落ち着いた所で徐々に円を描いて撫で回す。既に充血を始めていた乳首がプクリと水着を押し上げて、はっきりとその形を晒した。その先端を指で挟むようにしながら彼女の胸を揉みしだく。
「はぁぁんっ、ん、んぁ。あ……っ、ふぅ、んッ。私、わたし……」
 火が付いた体だ。弱い部分を優しく揉み解され、由実が蕩けるような表情で熱い吐息を漏らす。肩幅より少し広めに開いていた足が自然に閉じられ、内股気味になってモジモジと擦り合わされている。その細く白い足に、ツツーと蜜が滴っていた。
 相当良くなって来たようだ。だが今日はもうちょっと苛めよう。
「あ、あぁ。ん――え? ぁ、あ、そんな……こんな、所で、んッ?」
「綺麗な胸だな。可愛いぞ」
「や、やぁ。あッ、だ……ダメぇ。んっ、んぁぁ」
 両手でそっと彼女の肩を押さえ、水着の白い肩紐をズラしていく。こんな所で脱がされては困ると、由実が胸元を押さえるが、それも大した抵抗にはなっていない。無言で水着を下ろして行くと、自然に彼女の腕も下がった。肘まで肩紐を下ろし、胸元を覆う部分をそっとズラすと、平均よりもずっと豊かな乳房がフルンと跳ねるように現れる。
 底の深いお椀を伏せたように、全体的に丸みを帯びて膨らんだ由実の胸。その頂点にある乳首は綺麗な桜色で、今はツンと尖って自己主張している。
「いつもより固くなってないか? ホラ、この辺もプクっとしてる」
「んあ、あッ! そんな、事……ん、アっ! ん、あぁぁ……はぁ、んっ」
 通常時より少し盛り上がり、赤味が増した左右の乳輪を優しく指で擦り、円筒形に突出した乳首をキュッと捻った。水着の肩紐は彼女の肘の下で止まっているので、向こうはお腹の辺りまでしか腕を上げられない。無論、紐が引っ掛かっているだけなので拘束という意味では用を成していないが、それでも今の由実の両手を封じるには十分ではあった。
「んっ、はぁ……。あ、ぁっ、ハァ。ん、はぁ……ん」
 強く揉みしだくと怯えてしまう彼女だが、後ろからピタリと抱き付いて肌を合わせ、胸の表面を撫でるように優しく擦ると、むしろホッとした顔で目を細めた。心地良いという信号が、脳の深い所から溢れているらしい。屋外で、人目につくかもという状況を忘れてうっとりしている。局部だけでなく、全身に快感がジワジワと生まれ始めたのだろう。
「ん――。んはぁ、ふぅ……。ん、ぁ――きゃッ!? あ、あ……私っ、今」
「おっと、倒れると危ないぞ。ちゃんと立ってないと」
 これが更衣室かどこかの比較的落ち着ける場所なら、そのまま優しく可愛がるのもやぶさかではないが、今回は場所が場所だ。つい足が緩んで崩れ落ちそうになった由実が、その拍子に自分を取り戻す。俺はそれを抱きとめ、半ばまで脱がれた水着の肩紐から彼女の両手を出させ、再びフェンスにもたれさせた。
「由実、さっきと同じ格好に。あ、もうちょっと下がって。そう、その位置」
「あ、あの……あ、や、やぁ。こ、ここ、こで? んあぁッ!?」
「もう少し前に倒れて。うん、フェンスに肘を付くと楽かもな」
「やっ? あ、あぁ。だ、ダメ……んっ。せ、せめて、見えない……所で。ん、ぁ」
「でもほら。体の方は欲しがってるみたいだぞ」
「んんッ! あ、あぁ……だ、誰かに見られたら、んッ! あ、ああッ」
 上半身を完全に露出させられた由実がフェンスに縋り付き、お尻を俺の方へ向けている。口ではどうこう言いながらも、結局は何一つ逆らわずにその姿勢を取った。
 フェンスの外側からだと、タユンと揺れる胸が丸見えだ。固く尖った乳首から水が滴り落ちる所から、乳房に薄っすら浮いた血管の線まで全部。しかし両手は体を支える為にフェンスを掴んで塞がり、隠そうにも隠せない。彼女に出来るのはオロオロと振り返って心底困った顔で俺を見上げる事のみ。無論、こちらとしては、そんな表情こそ可愛くて仕方が無いのだが。
「準備は、良いみたいだな。凄く濡れてる」
「んっ! や、あぁぁ。だ、ダメぇ! んっ、んあああ……」
 トロリとした蜜でジットリと濡れているスクール水着の股あて部分を右にズラす。途端、そこで押し留められていた愛液がタラタラと零れてきた。まだ高い日に照らされて、淫らに濡れた性器が顕わになる。体つきの割に薄い恥毛は、割れ目の上部周辺に僅かばかり生える程度だ。ふっくらと厚みのある柔らかい大陰唇は行儀良く口を閉じているが、涎が溢れて止まらないのでは、はしたないとしか言えない。
「あ、あっ、あ。お願……い、ここじゃ、んぁ! ん――っ。や、やぁ……」
 既に天を突いて勃起していたペニスを取り出した俺は、由実の閉じた陰唇にそって亀頭を滑らせ、陰茎にまでたっぷりとヌメリのある愛液を擦りつけた。そのまま素股でペニスを前後させると、やがて彼女の大陰唇が自然と口を開いて肉棒を挟みこむようになる。その奥の薄い襞が愛液と共にペニスに絡み、吸い付いて離れない。まるで下の口でフェラチオをされているようだ。
「由実、挿れるぞ。腰を落とさないようにな」
「あ、ん……んっ、ぐぅ。あ、あッ! は、入って――来る、の……んぁぁ」
 如何に気持ち良い素股とは言え、やはり膣内の刺激には敵わない。十分にペニスが濡れた所で、俺は由実の尻から性器にかけての肉を掴み、陰唇をくぱぁと開かせた。綺麗なサーモンピンクの内部、その下よりに位置する穴がパクッと小さく口を開けている。その口にペニスの先端をあてがい、改めて彼女の尻を左右から掴んだ俺は、慎重に自らの腰を押し出した。
 ヌプと気持ち良く亀頭が埋まり、続いて陰茎が膣内に割って入る。たまらない挿入感だ。俺の方こそ膝が笑いそうになる程の。そして中に入るほどに膣壁の細かい襞がペニス全体に纏わりついて蠕動する。半ば挿れただけなのに、ジワジワと蠢く内部の刺激が堪らない。早くも沸き上がってきた衝動を抑えながら、俺は相棒を根元まで由実の中に埋めた。
「んっ、あ……あ。こんな、わ、私――。んっ、だ、ダメなのに。ん、あぁぁ」
 屋外の、しかも開けた場所でのセックスで神経が過敏になっている彼女は、このまま良くなってしまいたいという感情と、誰かに見られたら困るという理性がせめぎ合っているようだ。膣内にペニスを収めながらも、めまぐるしく声音が入れ替わっている。後ろからは見えないが、表情も秒単位で困惑と陶酔のそれが交互に現れているのだろう。
「動くぞ。しっかり掴まってろよ」
「あ、あぁぁ……う、うっ。い、良い――っ、だ、だめェ……ん、んーっ!」
 ゆっくりと腰を引き、ペニスのカリが膣口付近まで来た所でまた押し込む。やや浅く挿れ、陰茎半ばでまた腰を引く。その浅くて弱い抽送に、由実の腰周りがプルプルと震えてきた。いっそガンガン突かれた方が、歯を食いしばって耐えるに向くだろう。だが、このペースで優しく出し入れされると、逆にそれが堪えようの無い快感の波に変わる。
「あ、あ……ぁ。はーッ、はぁーっ。う、ううぁ、あっ。んあああぁぁ……」
 その快感の波は、どうも俺が思った以上に急速に彼女の下腹部を侵食したらしい。何度かゆっくりと抽送すると、由実はあっけなく絶頂に達した。きゅ、きゅーッと膣壁が収縮してペニスを締め上げに掛かる。
 こちらもその圧迫で思わず出しそうになるが、俺自身がまだ物足りなさを感じていた。よって動きを止めて衝動を堪え、一度彼女が落ち着くのを待つ。
「んっ。はぁ……あ、ぁぁ。わ、私、こんな――所で……んっ」
「気持ち良くなれた?」
「え、あ……んっ。その……あっ!?」
 由実は細かく痙攣しながらグッタリとフェンスに手を付き、今にも崩れ落ちる寸前だ。そんな彼女を抱き起こし、腰と胸元をガッシリと支えて耳元で囁く。カーッと顔を真っ赤にさせ、由実はだが素直にコクンと頷いた。そして力を抜いて俺に身を任せる。胸を隠すのを優先させるべきなのだろうが、今の彼女は抱き締められる方が重要らしい。目を瞑ってひたすらこちらに寄りかかる。
 それはそれで男冥利に尽きるし、甘えられるのは大歓迎ではある。あるのだが。肝心の俺はまだ満足に至っていないのだ。
 由実が一度大きく深呼吸した所で、俺は彼女の両手をまたもフェンスに付かせ、再度腰を持ち上げる姿勢を取らせた。
「あ、あ……え?」
「あのな、由実。俺、まだイってないんだ。もうちょっと頑張ってくれ」
「えっと、あ――ッ! あ、やぁ。私、もう……ん、ああああッ!?」
 振り返ってうろたえる由実に構う事無く、俺はペニスを根元まで膣内に埋めた。そもそも入りっぱなしだったので話は簡単だ。ガシャとフェンスが揺れるほど一気に挿入し、今度は半ばまで抜いてまた最奥を突く。
 ただでさえ神経が尖っており、その上、達したばかりだ。敏感になっている性器を強く掻き回されて、流石に彼女も悲鳴を上げた。だが体に力が入らないらしく、膝がガクガク震えている。両手の指でフェンスを掴むのもやっとの有様。金網に肘を突いて、体を支えるのにも必死だ。喘ぎ声を押し殺す余裕などないらしい。
「あ、あーっ! ん、んぁ。だ、ダメぇぇ。ひぅ――っ! う、うぁぁ」
 だが強すぎる快感に恐怖を覚えているのか、体の芯が微妙に硬直と弛緩を繰り返す。それがまた膣の締まりに直結し、トロトロと溢れ出る愛液と相まってペニスには素晴らしい刺激だ。パン、パンっ、と音を立てて由実の尻に腰をぶつけ、俺は夢中で彼女を貪った。
 実の所、それまでは人影が見え次第、彼女を引っ掴んでプールに飛び込む予定だったが、この時ばかりはそれも忘れていた。遠くに聞こえる運動部の掛け声と、今にも気絶しそうな由実の甘い悲鳴をBGMに、ひたすら快感を堪能する。
 ヌチャっ、クチャと、どうしようもなく淫らな音を立てて俺のペニスが柔らかく温かい女の肉壺を出入りする。体を捻って斜め後ろから首を捻れば、由実の乳房がタプタプと揺れてぶつかっているようだった。それを正面から眺められないのだけが残念だ。
「ん、はぁ――ハァっ。あ、ぐぅ、も……私。あ、あ――っ、ぁ、私……」
「いいぞ、由実。イっていい。好きな時にイっていいんだ」
 喘ぎ悶える声が急激に切羽詰まり、彼女の体に張り詰めたような緊張感が走る。自ら腰を持ち上げ、もっと深くとばかりに俺の方に尻が突き出される。由実が最も高まった時に行う絶頂の前兆だ。全身が引き攣り、顎をそらして甲高い悲鳴を小さく上げる。こちらもそれにあわせてペニスを深く突き刺し、子宮口に亀頭を擦り付けた。
「あ、ンっ。あ、あぅ……ひっ、く。ん、ああ、ああぁぁッ!」
 やがて彼女の背筋が弓を引いたようにググッと反り返り、膣全体が大きく収縮する。キューッとペニスを締め上げる力は、先ほどのそれよりずっと強い。そこへ俺も射精した。
 どぷッ、びゅク――と精液が波を打って噴出。由実の子宮を目指し、狭い膣内に放たれる。断続的で不規則な膣壁の収縮が、もっと寄越せとペニスを締め上げ、その精液を胎内へと取り込む。密着した結合部から僅かに気泡が生まれ、濃厚な体液が彼女の中にたっぷりと流れ込んだ事を示していた。
「あ、あぁ……ん、あ」
「おっとと。危ないぞ、由実」
「ん……? あ、ぁ。ハァ――はぁ、ん……ん」
 華奢な体に収まりきらない程の大きな絶頂感に、今度こそ由実は前のめりに崩れ落そうになる。半ば失神しているようだ。慌てて抱きかかえても、まともな反応が返ってこなかった。全身がビクビクと痙攣し、焦点を失った瞳はドロンと曇っている。それでも感覚は体に残っているのか、優しく抱き締めて胸を愛撫すると気持ち良さそうに鳴き声を上げた。
 さて、名残惜しいが余り長くココに留まってはいられない。本当に誰かが来て騒がれるのは俺とて本意ではないのだ。暫く挿れたままで余韻を味わい、尿道に残った分の精液も全て吐き出した後、俺は彼女の中からペニスをズルリと引き抜いた。
 そして未だ放心状態でグッタリしている由実にタオルを巻いて抱きかかえ、更衣室へ赴く。
 プールの更衣室には奥に広めのシャワールームがあり、外のシャワーと違ってお湯が出るのだ。ボディソープも常備してあるので、綺麗に体を洗ってから服を着る事が出来る。
「ん、あ……ここ、は?」
「うん、やっと起きたか。体、どっか痛かったりしないか?」
「あ……更衣室の、シャワー。うん、ん――っ、大丈夫、です」
 まだ少し体が酔っているのだろう。やや虚ろな顔で、だが色っぽく由実が身を捩る。その表情が実にそそる。折角なので、もう少し弄ろうか。そう思い、俺は彼女を赤い台の上に乗せた。
 簡易扉のある個室のシャワールームが並ぶ、その反対がわの壁に置かれた赤い台。高さは60cmほどで、縦横が2m×1mあるプラスチックだが結構頑丈な代物だ。プールフロアと言って、本来はプールの底に並べて沈め、水深を浅くする物なのだが、何故か一つだけ男子用シャワールームにベンチ代わりとして置いてある。その上にもシャワーがあるので、座って駄弁りながらお湯を浴びる事も出来るという訳だ。
 ただ、俺が由実を連れ込んだ時に限っては当然する事も変わってくる。
 栓を捻ってお湯を出し、適温である事を確認。シャワーヘッドを固定具に戻して彼女を促す。
「さ、脱いで。洗ってあげるから」
「あ……は、はい」
 やっと由実もまともに頭が働くようになったのだが、ここに至っても大人しくこちらの言いなりになっている。顔が今まで以上にカァッと真っ赤に染まっているのはご愛嬌だとしても。
 2人きりで、それに初めてではない事とはいえ、彼女は恥ずかしそうに手で胸を隠しながら台の上で水着を脱ぎきった。身に一糸も纏わない、完全な裸だ。女の子座りになり、右腕で両の乳首を隠し、左手で股間を覆っている。
「由実。分かってるだろ? 手と膝をついて」
「は……い。ん、んっ」
 やや躊躇いながらも、由実は台の上で体勢を変え、四つん這いになった。そして眉をハの字にして不安そうに、ただ僅かに期待感を含んだ眼差しでジッと俺を見つめる。
「うんうん、中まで綺麗にしてあげるからな。もうちょっと、足開いて」
「んぅッ。あ……は、い」
 ピタピタと穴まで丸出しになったお尻を撫でながら、俺はシャワーのヘッドを取り、先ずは彼女の全身を軽くお湯で流す。そしてお湯は出したまま、シャワーを壁に固定。
「んぁぁ。あ、私……まだ、体が、んッ! んああっ」
 弱い水流に背中を打たれた彼女が、切なそうに悶える。それは温かいお湯の所為だけでなく、横から体を撫で擦られてもいるからだ。
 背中から尻にかけて一通り触った俺は、重力に引かれて下を向いた乳房を、手の平で掬うようにタプタプと弄ぶ。持ち上げては下ろすように、或いは牛の乳を搾る感じで付け根から乳首に向かって優しく揉み下ろす。
「ふあっ、あぅ……。む、胸、痺れ――んぁぁ」
 一度は落ち着きかけた快感の波が、再びジワジワと沸き起こってきたらしい。由実は小刻みに上半身を震わせた。お湯で流されてはいるが、半開きになった口元からは涎も垂れているようだ。
「んあぁっ。ん……え、あ、何で――? ん、んああッ!」
 気持ち良さそうに鳴き始めた所で胸から手を離すと、彼女はどうして止めてしまうのかとばかりに寂しげな顔で振り返る。もっと乳房を触って欲しかったのだろう。だが、いやだからこそ、俺は意地悪く愛撫を止めた。そして今度は晒け出された性器に手を伸ばす。
「ここを、綺麗にするんだろ?」
「んあッ! や、止め……い、今、そんな事されたら、あああぁ……んやぁっ」
 左手で尻の肉を掴み、その親指で赤味の差した陰唇を開いた。チロッと白い粘液を一滴零す膣口に、右の人差し指を当てる。
 脆弱な粘膜に傷をつけないよう、ゆっくりと第一間接まで埋めた。入り口が弱々しく指を咥えるが、抵抗にはなっていない。ツプッと簡単に次の間接を超えた所まで入ってしまう。
「ん、んッ! んあぁ……ゆ、指が、あッ! あ、やぁぁ」
 少しだけ人差し指を曲げ、柔らかく温かい膣の襞を指の背で擦るように手首を捻る。既に2度果てた体だ。堪らず由実は悲鳴を上げた。だが苦痛による物でないのは確実で、その叫びは隠しようのないほど、甘い悶えに満ちている。
「ひッ、い、い……くぅ。ん、あああッ! こ、ここ、擦れて……あ、ああっ」
「お、結構出て来るなぁ。よっ、と」
 またぞろ分泌が始まった愛液――も、そうだが、先ほど俺が注いだ精液が、まだ膣内に残っている。俺は一度シャワーを止め、指を更に曲げてコの字に近くし、それを膣内から掻き出した。
 避妊を意識した膣洗浄というわけではない。射精してから5分以上経ってしまっているし、全ての精子を掻き出せる筈も無い。今更こんな事をするのは、単に俺がそこを弄りたいだけだ。
 コポッと膣口から零れる精液を左手で受け止める。一度ではなく、何度も膣内を掻き回し、中に残った精液をほじり出しては左の手の平に落とした。
「由実、これがお前の中に残ってた分だ」
「あ、あぅ……う。んっ、ん……れろっ。んむ――んっ」
 どうするのかと言えば、舐めさせるのである。彼女の方も口元に差し出された時点で意図を理解し、チロチロと舌を伸ばした。散々膣内を嬲られて全身をカタカタ震わせながらも、こちらが引っ込めない限り、由実は俺の左手を舐め続ける。手の平は勿論、余り関係の無い指の股まで丁寧にペロペロと。そう教えてあるのだ。自分の、或いは俺の手に乗った精液は、舐め取って一滴残らず飲み込むようにと。
「うん、もういいぞ。じゃあ石鹸つけて体流すからな」
「はぁ――ハァ。んっ、は……い」
 ボディソープをスポンジにたっぷり垂らし、何度も握って泡をたててから、それをギュッと搾って彼女の背中に落とす。そしてその白い泡を両手で伸ばし、俺は丹念に由実の全身を撫で擦った。
「ん……あぁ。あッ! んあぁぁぁ……。んっ! んぅ」
 ヌルヌルとした石鹸の泡に塗れ、体中を撫でられる。摩擦係数の低い微弱な刺激を肌という肌に与えられ、彼女はもどかしそうに顎を上げて唇を噛んだ。延々と続く高まりきらない程度の愛撫だ。生殺しに近い感覚があるのだろう。やがてポロポロと涙を零し、由実はハッキリと哀願の目を俺に向けた。
「あ、あの……お願、い。んッ、んあぁ。私……おかしく、なりそ――っ、んああ」
「そう? どうして欲しいんだ?」
「うぅ……ぐ、んッ。い、挿れて――下さい。い、い、挿れ……て」
「そ、そか。分かった」
 何を、どこに、までちゃんと言わせようと思ったが、ボロボロ泣き出したので残念ながら止めた。日に日に感度が高くなっているのだろう。ここまで嘆願されたのは初めてだ。
 俺は素早く自分の水着を脱ぎ捨てると、台に上って彼女を正面から抱き締めた。そして由実の上半身を胸に乗せ、胡坐をかいて座り、彼女の下半身を膝に乗せる。
「足をこっちに。そう、両方とも。おっと、落ちるなよ」
「ん――ッ! んああっ、ん。あ、あ、い、挿れ……て。んあっ、お願、い」
 極度に滑りやすい上、落ちたら床は固いタイルだ。慎重に由実の両足をこちらの腰に巻きつかせる。所謂、対面座位の格好だ。
 もどかしさで体中が一杯になっている彼女は、自分から体を擦りつけて来た。挙句、腰を上げてペニスの挿入を試みるが、ボディソープのお陰で滑りまくっている。結果として股間でペニスを擦り上げるだけという有様。終いには動けなくなり、俺の膝の上で嗚咽を始めた。
 これはちょっと苛められない。これ以上焦らしたらセックスがトラウマになってしまいかねない。そう判断し、俺はモゾモゾと腰を動かしてペニスの位置を調整し、膣口を探り当てて挿入する。石鹸と、何よりたっぷり溢れた愛液で、中の様子を確かめるまでも無く、肉棒は奥まで一気に埋まった。
「んあああーッ! ひっ、ふあぁ。あ、あ……う、うぁあ」
 体を貫く快感を突然与えられた由実は思わず甲高く叫ぶ。だが、それが自分の欲していた物だと察するや、俺にギュッと抱き付いて自ら腰を揺すり始めた。
「んっ、あ……良い。気持ち……良いのっ、んんっ! あ、んっ」
 こちらも彼女に合わせて下から突き上げる。弱々しくも前後に動く由実と、力強く上下に動く俺。その2つの動きが次第に重なり、膣内でペニスが円を描くように肉襞を擦る。
 激しい抽送でヌップヌップという淫らな音がシャワールームに反響。そこに彼女の朦朧とした喘ぎ声が重なり、空気までもが重く、そしていやらしく絡み付いてくる。
「い、いああ。や、やぁ……あ、あっ! い、いいぃぃ、イく。イくのっ」
 俺が無言で突き上げている内に、由実の体が芯から緊張を始めた。理性は完全に飛んでしまっているようで、最早恥ずかしげも無く果てる寸前である事を叫ぶ。そして寸前なのはこちらも同じだ。俺は彼女の腰と脇を強く掴んで上下に揺らし、膣の最奥付近をペニスで激しく擦り上げる。
「あ、あむっ、あ……くぅ。ん、私――あ、ぁ。い、い、ああああぁぁーっ!」
 時間にすれば物の数秒。だが、やけに長く感じられたラストスパートの末、由実が飛び跳ねる勢いで派手に反り返った。途端、膣内が一斉にキューっとペニスを締め上げる。その収縮の最中にこちらも射精。
 びゅっ、ビュる――っ、と陰嚢にこれほど残っていたかと驚くような量の精液が流れ出し、彼女の胎内へ飲み込まれていった。
「んあっ。はぁッ、ハァ……あ、あー……」
「おおっと! 由実、気を付け――由実?」
 膣はまだ断続的な収縮を繰り返しているが、肝心の本人は強すぎた絶頂に耐えられなかったようだ。ビクビクと体全体を痙攣させながら、由実は気を失っていた。薄っすらと瞼は開いているが、こちらの呼びかけに全く反応しない。完全に失神状態だ。
 まぁ、今出した精液はボディソープと混ざっているだろうし、飲ませるのは如何せん酷が過ぎる。頬を引っ叩いて起こすなど論外だ。好き放題に抱いているが、別に心を壊すような陵辱をしたいわけではない。
「ふぅ。今日はココまでだな……。んしょ、と」
 暫く繋がったまま、彼女の痙攣が治まるのを待ち、呼吸も安定した所でペニスを抜く。そしてシャワーの栓を捻り、俺は改めて由実の体を洗い流した。
「さて。どうすっかね」
 時折ピクリと身動ぎするが、彼女は暫く目を覚ましそうに無い。かといって放り出して帰るのは流石に気が咎める。俺は一旦お湯を止め、うーむと唸って首を捻り、そしてシャンプーのボトルを手に取った。

 由実が目を覚ましたのは30分くらい経ってからだった。
 寝ぼけ眼で可愛らしく首を捻り、ジッと俺を見つめ、そして跳ね起きる。
「おっとと。危なっ! ……ふぅ」
「あ、ご、ゴメンなさい。ん――っ、その……ずっと?」
「んー。まぁ、何となく」
 彼女が何処からどうして転がり落ちそうになったかと言えば、俺の膝から、目を覚ましたら抱っこされていたからだろう。体に巻かれていたスポーツタオルをキュと握り、真っ赤になって俯いてしまった。
 事の後、俺は失神中の由実にシャンプーをして、更に今度はスポンジで全身を洗い直した。おまけにリンスまでしてから体を拭き、別のタオルに包んで抱っこしていたのである。何となく離しがたい物があったので。
 場所は男子更衣室の入り口付近。外部からは完全に死角になっている場所に椅子を置き、扉を開け放って扇風機を回して涼んでいた。時々、おっぱいなど揉みながら。
「……。……」
 顔を伏せた彼女は、ジッと動かずに身を縮めている。と思ったら、フッと緊張を解いた。ちょっとだけ腕に掛かる重みが増したような気がしたが、そもそも女の子の体だ。取り落とす事も無く、支え続けた。
 1分か2分か、まったりしていながら妙に固いような沈黙の後、そこでやっと本当に目が覚めたのだろう。由実は変に慌てて俺の膝から降り「着替えてきます」と言い残して女子更衣室に消えた。
 が、消えたと思ったら取って返してきて男子用シャワールームに入り、自分の水着を回収して再び女子更衣室に消えるという一幕を交えつつ、そこからはいつも通りの展開だ。
 互いに着替えを済ませた後、鞄を持ってプールを出る。そして俺が施錠し、そこで解散。
「じゃ。今日はこれで」
「はい。また……明日」
 そんな挨拶を交わして帰宅の途につく。
 今日は中々に充実したセックスが出来た。短時間に3回も射精した所為で腰は幾らか疲れ気味だが、それを大きく上回る満足感がある。いや、本当に幽霊部員にならないで良かった。意味も無く水遊びに興じていた過去の自分を褒めたい。
 さて、明日はどんな風に彼女と遊ぼうか。
 まだ日は高い。俺は強い日差しに目を細めつつ、だらしなく口元を緩めて道を歩く。
「うん? 明日?」
 そういえば、と俺は不意に振り返って学校を見た。
 別れ際に由実が「また明日」などと口にしたのは、初めてだったかもしれない。



 ――了。

モ ドル