救いなんていらねえよ、

 

 罠は何処にでもある。誰が仕掛けたかなんてどうでもいい。問題はそれに引っかかるかどうかだ。寝不足の時にエレベーターに乗って女子社員と二人きりになるなんて状況に、自分から突っ込んでくようなバカは社会ではお呼びでないのである。
 ふらついた拍子に女子大出立てのOLに寄りかかって、その大してありもしない胸を手が掠めるに決まっているのだから。
 結果、セクハラで会社追放。訴訟を起こさないだけでもありがたいと思え、とは良く言ってくれたものだ。
 その後、やる事なす事上手くいかず、俺は今、30を目前にしてフリーターでどうにか食っている。
 まあいい、まあいい。
 罠に引っかかったバカは何も俺だけじゃない。こうなったら、自分が罠になるまでだ。ネットでレイプ動画を見ても、罪悪感とか良心とかは全く沸かず、むしろカメラアングルの稚拙さにストレスを溜めるようになった今、俺は人生を立て直す努力を放棄した。

 ピンポン、と呼び鈴を鳴らす。
 特徴ある某黒猫のマークが入ったジャンパーを羽織り、そろいの帽子を被り、ベージュのチノパンを穿いている俺は、何処から見ても宅配業に従事するお兄さんだ。帽子とジャンパーは実際にこの会社でバイトをした時、隙を見て持ち帰った物である。この管理の緩い営業所から、他にも伝票やらマジックやらをごっそり頂いた。備品が減ってるのに気付いた所長は女性事務員に「補充しといて」と言ったきりである。ビバ緩い人達。

「はーい」
 ドアフォン越しに女性の声。○×運輸です云々というありきたりの挨拶で、直ぐに鍵が開く音がした。流石に大手の会社。信頼感は抜群だ。小さめのダンボールとダミーの伝票を抱えた俺は、開いた扉を潜り、玄関へ足を踏み入れた。
「あら? 主人に……何かしら?」
 俺の格好も差し出した伝票も本物を使ってあるので疑われよう筈も無い。見た目20代後半の奥さんは、受け取ったダンボールを床に置くと、シャチハタをエプロンから取り出した。靴箱に伝票を置き、判子を押す。視線がそちらに集中したその一瞬。俺は20センチほどに切っておいたガムテープを手のひらに載せ、素早く彼女の口を塞いだ。
「ッ―――!」

 佐藤さん。名前は知らない。二ヶ月ほど前に建売の一戸建てに越してきた3人家族のお母さん。年齢は前述の通り20代後半、30にはなっていまい。泣き黒子が印象的な美人だ。幼稚園に通う娘がいる。旦那は多分、普通の会社員。
 重要なのは、本日、そして明日と明後日。この家は彼女一人きりという事だ。
 知ったのは偶然だった。昼前、借りていたDVDをレンタルショップに返しにいくと、彼女がいた。ここに勤める女性店員と知り合いらしく、世間話に興じていた。
『今日から娘がサマーキャンプで』
『2泊3日』
『主人も4日程出張で』
『その間、私一人だから』
 そんな事を話した後で、洋物のドラマシリーズをまとめて借りていったのである。
 これはチャンス。そう思った俺は商店街の中華料理屋でたっぷりと昼飯を食った後、宅配業者に成りすましてこの家を訪れたのだ。ちなみに、家と旦那の名を知っているのは、以前、実際にこの家に宅配に来た事があるからだ。

「っ! んーーッッ!!」
 混乱し、暴れる彼女に足を掛けてうつぶせに押し倒す。そして馬乗りになって彼女の腕を背に回してガムテープでぐるぐる巻きに。そのまま背中の上で反転し、ストッキング越しに足もガムテで固めた。今は動きを止めるのが先なので幾らか乱暴でいい。後で丁寧に縛り直してあげるのだ。
 首尾よく彼女を縛り上げた後、俺は玄関の鍵を閉め、靴を脱ぎ、改めてこの家に上がり込んだ。
「こんにちは、奥さん」
「んッ! ンンっ!」
 泣きながら暴れる佐藤さんを引きずり、居間に転がす。後ろ手に縛られた美人妻。実にいい眺めだ。何をされるのかという恐怖で一杯になっている表情がとても良い。
 ひとしきり観察して満足した俺は、先ほど彼女に渡したダンボール箱をおもむろに開けた。実はここに縄やらバイブやらの素敵アイテムを入れてあったのだ。
 そして一枚の日本手拭いを出した。やはり猿轡は日本手拭いに限る。SMチックにギャグボールを噛ませるという手もあるが、ビジュアル的には好きじゃない。
 口に張ったガムテープを剥ぎ取ろうとした俺は、だが思い直して手を止めた。彼女はそのままに、二階に上り部屋をあさる。ダブルベッドの置かれた夫婦の寝室をスルーし(でも後で使おうと決心)娘の部屋へ。
「うわ、乳クセエ」
 子供特有の甘ったるい匂いが鼻をつく。そっちの趣味はないので顔が歪む。だがそれはそれとして、後でこの部屋でもやってやろう。その時を楽しみに、俺は子供部屋のタンスから、小さなパンツを一枚、手にとって下に降りた。
「これなーんだ?」
「ンんっ!!!」
 佐藤さんの顔が引きつる。もしや娘の身にも危険が? という懸念からだろう。まあ、その心配ばっかりは要らないのだが。
 俺は仰向けにさせた彼女に馬乗りになり、その細い顎をガッと掴んだ。そしてガムテープをゆっくり剥がす。
「あ、あ、あ……んっんっぐ――!」
 そして叫ぼうとしても恐怖で声が出ない彼女の口に、娘のパンツを押し込んだ。その上で手拭いを使い猿轡を噛ます。
「いや何。娘さんには手は出しませんよ。そっちの趣味はないからね」
 佐藤さんは一瞬だけ安堵し、だが次の瞬間、口の中にあるのが何であるかを思い出したのか、悲しげに顔をゆがめた。
 良い顔だ。素晴らしく良い表情だ。これは堪らない。
 予定では手足のガムテープを剥がし、持参した縄で縛りなおしてからゆっくり頂くつもりだったが、こんな顔をされては俺の方が耐えられない。
 ブラウスの前ボタンを引きちぎり、前を開く。ブラジャーを上に押し上げて乱暴に胸を曝け出させる。豊かな胸が俺の目の前でふるふると揺れた。
「んーーっ! んぐっんっ!」
 激しく首を振り、いやいやをする佐藤さん。それに構わず、俺は彼女の胸を鷲掴みにし、痕がつくほど強く揉みしだき、捏ね回した。
「あっは、はははははッ! 柔らケェッ! 凄ェよ奥さん!」
 ぐいぐいと乳房を弄び、それだけでは飽き足らず、彼女の乳首にむしゃぶりついた。
 娘が生まれてから数年、流石に母乳は出ないが、音を立てて吸い付くのは実に愉快だった。
 猿轡を噛んで泣きじゃくる彼女の顔に、更に嗜虐心を刺激される。俺は彼女のスカートを巻くりあげ、その中の秘所を指でぐいぐいと押した。
「どうよ? 今からココに俺のをぶち込むんだけど?」
「んッ!? んんッ――ッ!!」
 ガムテープで固められた両足をバタバタと動かして拒絶の意を示すが、もちろん止める気など俺にはない。
 佐藤さんを身体ごと持ち上げ、うつ伏せにして顔からソファに落とす。目の前には肉付きの良い尻。むっちりとしていて、垂れていない。
 だが尻の感触を楽しむのは後にして、俺はストッキングごと味気のないショーツを摺り下げた。
「んーーーーッ!!」
 思わず悲鳴を上げる彼女。
 秘裂に手を伸ばしたが、濡れてはいない。経産婦といえど、このまま突っ込むのは流石に無理がある。俺は例のダンボールに手を伸ばし、中からローションを出した。キャップを取り、鉛筆ほどの細さのボトルの先を、俺は彼女の秘裂に躊躇なく差し込んだ。
「んんっ!? んーーッ!?」
 顔がソファにめり込んでいる彼女は、こちらの様子を見る事が出来ない。だから、自分の中に冷たい液体を注がれれば、それはまあ驚くだろう。
 さほどの量を出す必要なない。要は濡れてさえいればいいのだから。俺はローションのボトルを抜き、彼女の入り口と、ようやく解放されて勢い込んでいる自分のペニスにも少しそれを塗った。
 準備は万端だ。
「じゃあ、入れますよ」
 返事なんか待ちもせず、俺は彼女の膣にペニスを挿入した。
 そのまま遠慮なく腰を振り、叩きつけるような激しい抽送を始める。
「っんーーーッ!」
「ひひっ、何この具合のよさ!?」
 本当に子供一人生んだのか、と思わせるほど彼女の入り口は狭い。膣内がほぐれていないのは状況が状況だけに有り得るとしても。
 勿論それが悪いなどと言うことはなく、足元から何かが這い上がるような快感にゾクゾクと打ち震え、俺はしばし無言で腰を振った。
 そうしてピストン運動を続ける内に、佐藤さんの様子も変わってくる。嗚咽の中にも隠しきれない甘いあえぎ声が混ざる。強制的に快楽の波が引きずり出されているのだ。嫌だ嫌だと思いつつも、身体の、特に秘部の肉が柔らかくなってきた。注入したローションの量を遥かに超える愛液で、いつのまにやらソファはビショビショだった。
「おっ、おお!?」
 油断していると直ぐにでも射精しそうになる。俺はだがケツに力を入れて湧き上がる衝動を押さえ込んだ。長くは持たないのは承知。でも、もう少しだけいたぶろう。
「随分いい具合じゃないか、ええ? 気持ちよくって堪らないんだろう?」
 ペニスを突き挿れたまま、俺は彼女の背中に覆いかぶさった。両手で乱暴に乳房を揉みしだきつつ、耳元で囁く。
「うん? 見ず知らずの男に無理やりやられて」
「っ! んんっ! んーー!」
「これだけ良い反応するってどうよ? 奥さん。アンタ素質あるんじゃない?」
 囁きつつ乳首を摘みあげた。猿轡のままの、くぐもった声の絶叫が耳に心地良い。摘んだ乳首はそのままに、グネグネと胸を揉みまくりつつ、俺は腰の動きを強めた。
「うはっ! 出すぞ、出すぞ。奥さん、たっぷりアンタの膣内に注いでやる!」
「――っ!! んん―――ん――っ!」
 膣内に注ぐ、そう言った途端、激しく身をよじる佐藤さん。声にならない悲鳴を上げて腰をよじり、何とか逃げようとしているが、正直逆効果。むしろ俺には気持ちいいだけだ。胸を開放し、だが変わりに両手でガッシリと彼女の腰を掴む。
「うっ! だ、出すぞっ!」
 パンッと小気味良い程の音を立てて腰を打ち付ける。そして柔肉を掻き分け、彼女の一番奥深くまで侵入。ぞぞぞ、と背筋を快感が走り、俺は精液を放出した。
 勢い良く、たっぷりと。
「ふ、ふふふ……」
 征服感、充実感、そして程よい倦怠感。女の中に精液を注ぐ事。この何物にも変えがたい雄としての幸福感。
 俺は泣きじゃくる佐藤さんと繋がったまま、暫くの間、その余韻に浸った。


 ふーっ、と煙を吐き出す。
 この煙草のなんと美味い事か。
 俺は彼女と一戦交えた後、遠慮なくこの家の冷蔵庫をあさり、冷えたビールで喉を潤しつつ一服していた。ついでに小皿に盛られたハムのスライスがあったのでつまみとして頂いている。ついでに灰皿代わりに小鉢を一つ拝借している。
 どっかりとソファに座り、我が物顔でセックス後、と言うかレイプ後の一杯を楽しんだ。
「ひっ……ひくっ――」
 佐藤さんはと言うと、アレからそのまんまだ。俺が座るすぐ脇で、しきりに鼻を啜っている。身動きする気力もないのだろう。その虚ろな目。一体どれほどの絶望感に浸っているんだろう。
 俺は手を伸ばして彼女の乱れた髪をそっと撫でた。丁度飼い犬を可愛がるように。
 可哀想になあ、可哀想になあ。
 一人でのんびり洋ドラを楽しむはずが、突如押し込んできた男に強姦されるなんて。一体どれほどの苦痛なんだろう。一体どれほどの悲しみなんだろう。
 ああ、可哀想になあ!
 可哀想に。
 可哀想に。
 可哀想になあ。

「まだまだ犯されるなんて、可哀想にナア!」

 突然立ち上がり、俺はそう宣言した。
 佐藤さんが余りに可哀想なので、だからこそ、俺は全く辞めるつもりは無くなった。

 例の箱からハサミと手錠を取り出す。そして彼女の腕を縛るガムテープを洋服ごとじょきじょきと切る。そして今までソファにうつ伏せだった彼女の体を引き起こし、背に回されていた腕を今度は前で揃え、手錠を嵌めた。僅かに抵抗されるものの、弱弱しくてまるで問題にならなかった。因みに持参した手錠は柔らかいムートンが張ってあるソフトSM仕様だ。でも金属製で無駄に頑丈ではある。
 次いで足を固めていたテープもスカートごと切った。ついでとばかりストッキングとショーツも切って捨てた。同様にブラウスとブラジャーも。どれも必要以上にハサミでばらばらに切り裂いた。その恐怖感にカタカタと震える彼女の様子がまた楽しい。

「さて。どうするか」
 全裸に手錠と猿轡という格好の佐藤さんを抱え、そのまま再びソファに腰を下ろす。膝の上に乗せた彼女の乳房を片手で弄びつつ、俺は一息ついてビールを飲んだ。
「どうよ? 何されたい?」
「――……」
 やや固いながら、なすがままの彼女は、うつむいて何も言わない。猿轡を咬まされているので何を言っても言葉にならないのではあるが。
「ほら、どうしたんスか。うー、とか、あー、とか言わないと」
 戯れに、つまみのハムをハサミで小さく切って彼女の胸にペタペタと貼り付ける。
「ほらほら、張っちゃうよ。張っちゃうよ」
 何だか自分でもわけが分からないが無性に楽しい事は確かだった。ビールを一口啜り、佐藤さんの胸に貼り付けたハムに食らい付く。必要以上に舌を這わせ、むしろ彼女の肌の味を楽しみながら。時折ハムごと乳首を甘噛みする。さっき酷く抓った乳首だ。さぞ刺激は強いだろう。佐藤さんは軽くのけぞって首を振っている。そのお陰でフルフルと胸が揺れて、俺としては逆に楽しい限りだった。

「んじゃ、そろそろ休憩は終わりにします?」
「――ッ」
 答えがあろう筈が無い。佐藤さんはただ引きつるだけだ。
 俺は一旦彼女を下ろすと、冷蔵庫に向かい、ビール2缶とハムの塊を取り出して例の箱に入れた。ついでに小鉢ももう一つ。そしてぐったりとしている彼女を担ぎ上げる。
 向かう先は2階。――娘の部屋だ。


「んんっ!? んーーッ!?」
 乱暴にベッドに放り込まれると、そこで漸く何処に運ばれたか気付いたのか、彼女は目を見開いて何事かを叫んだ。更に気丈にも立ち上がって逃げようとするが、どうにも足に力が入らなかったらしい。無様によろけて尻餅をついた。
「ははは。何よ奥さん、運動不足?」
 俺はげらげら笑いながらロープを取り出し、腕と手錠の間を経由してカーテンレールを通す。そしてしゃがみこんだ佐藤さんを持ち上げてベッドに運びバンザイさせてロープを結ぶ。要するに、カーテンレールから吊り下げられて、その真下にあるベッドに座らされている状態だ。
 言うまでも無く、この部屋のベッドは彼女の娘が毎日寝ている物だ。
 佐藤さんは悲痛な顔で逃げようともがいているが、どうしたって逃げられるはずも無い。
「よしよし、いい眺めだ。記念に撮っとくか」
 デジカメを構え、幾つかのアングルで吊られた佐藤さんを撮る。これは後ほどネットにでも流す事にして。俺はまたぞろ例の箱から秘密道具を取り出した。いわゆるローターと呼ばれるものを――5つ。それと怪我をした箇所にガーゼなんかを止める、いわゆるサージカルテープ。
 じゃらじゃらと音を立ててぶつかり合うローターを見て、佐藤さんの顔が歪む。これからどんな事をされるのか、幾らかでも予想が出来たのだろう。ベッドから降りようと、前に向かっていた体が、今度は俺から逃げようとして後ずさる。そちらには窓と壁があるだけなのに。
 俺は彼女のそんな様子に気をよくし、鼻歌を歌いながら娘さんのタンスを引き出し、中から小さな肌着を取り出した。そしてベッドに近づき、ローターの束を彼女の鼻先に突きつける。
「じゃ、玩具で遊ぼうか。子供部屋だけに」
「んあっ! んあ!」
 嫌、嫌、と言っているのだろうが。それに耳を貸すはずも無く。俺は小さな肌着で、丁寧に彼女の胸と股間を拭った。
 先ず2つ。ローターを左右の乳首に一つずつあてがい、テープでバツの字を書くようにして固定。
 次に1つ。彼女のクリトリスを剥き出しにして、そこもテープで固定。
 更に一つ。お約束の膣内。これはあまり奥には入れず、いわゆるGスポットの辺りに。
 最後に一つ。片手で尻を持ち上げ、アナルにぐいと突っ込んだ。
 流石に尻に入れる段になって、バタバタと足を振って抵抗したが、どうと言う事は無い。押さえつけて無理やり挿入した。
「ふう」
 準備は完了。俺はおもむろに5つのローターのスイッチを入れた。
「んんっ!? んーーッ んあ、あ、あ、んーー!」
 こんな日もあろうかと用意していたローターは、7種類の震動が強弱をつけてランダムで入れ替わるという優れ物である。
「んっんっ、んーッ! んあっ、あ、あああ、んんっ――」
 俺は5つのローターに局所を責められて唸る佐藤さんの姿を眺め、娘さんの椅子に座りビールの缶を開けた。勉強机に缶とハム、そして灰皿代わりの小鉢を置き、すっかり観戦モードだ。
 ハムを手持ちの小さなナイフで切り分けつつ、ビールを一口。合間に煙草を一服。
 目の前には昼間からローター責めにあって苦しげに喘いでいる子持ち人妻。
 カーテンの隙間からは学校帰りの小学生の笑い声。
「どうだろう、この笑える状況」
 佐藤さんの白い脇腹をピシャピシャと平手で叩き、俺は哄笑した。
 どうして俺はこんなに楽しい事を今までやらずにいたのか。いやはや。酷い遠回りをしてきたものだ。
「ううっ、んはっ、はっはっ、んんっ! ……っ!!」
 絶え間ない彼女の喘ぎ声をBGMに、俺はのんびりと煙草をふかした。


 なんて事をしている内に、いつしかすっかり日が傾いていた。1回射精したのとビールのアルコールとで、ついうたたねをしてしまったらしい。
「……っ。…ッ! ――ッ」
 佐藤さんは目を閉じて見事にぐったりしていた。時々ビクリビクリと痙攣のように体が震える。
「おう、いけない。寝ちまった」
 部屋の電気をつけて改めて彼女の様子を眺める。いったい何度絶頂を迎えたのか、布団はもうビショビショもいい所だった。乳首に貼り付けたローターは健在だが、クリトリスの方は片側のテープが剥がれてしまっている。それはそれで微妙な刺激になっているようだが。
「悪い悪い。あんまり気分良かったもんで。ひひ」
 酷薄な笑みを浮かべつつ彼女に近寄り、テープで張られた3つのローターを乱暴に引っ張って外す。
「んひっ!」
 同時にビクッと震えて目を見開く佐藤さん。ほとんど気を失っていたのだろう。だが意識を取り戻したのも束の間、ガクガクと全身を痙攣させた。今尚、彼女の中で蠢いている2つのローターが随分良い感じで刺激を与えているようだ。
「どう? とって欲しい?」
 片手で彼女の顎を持ち上げ、耳元で囁く。佐藤さんは必死に痙攣を堪えながら、哀願するように首を縦に振った。
「分かった。とってあげよう」
 そう言って、俺は意地悪く笑い――カメラを構えた。
 呆然とする佐藤さん。何もかも真っ白といった風情のその顔をパチリパチリとデジカメに収める。次いでボロボロと大粒の涙を流し、身をよじって慟哭するその表情を。
「ははは。良い顔するなァ、ホント主婦にしておくには勿体無い」
 気の済むまで撮影に興じ、面白い反応が出尽くした所で俺はカメラを置いた。
「さて。じゃあ、ここらでもう1回しますかね」
 一眠りした事で体力は十分に回復していた。
 俺は鼻歌を奏でるほどの陽気さでズボンのチャックを下ろし、固く屹立した物を放り出す。佐藤の奥さんに見せ付けるように。
「……」
「あー、なんだあ? 何かホラ、言ってくれないと寂しいじゃない。ネェ」
 だが、俺の予想に反して彼女は身じろぎもせずに黙ったままだ。
 まぁいい。抵抗されるのも悪くないが、大人しくしてくれていても楽だ。
 両足を持ち上げて押さえつけ、秘裂にペニスをあてがう。その時になって漸く、彼女はポツリと言葉を発した。
「もう……止めて――」
 虚ろな目で、それでも俺の顔を捉え、震えながら。俺は不意に顔を近づけ、真剣な目で彼女に問うた。
「止めて欲しい?」
 コクリと頷く佐藤さん。
 そのままにらみ合うこと暫し。
「分かった。もう――止める」
 それを聞いて彼女は、目を瞑って、ホゥと息を吐いた。

「後10回犯したらなッッ!!」

 そして俺は容赦なくペニスを突っ込んだ。佐藤さんの太ももを抱え、パンパンと音がするほど強く強く打ち付ける。散々ローターでいかされた後だ。膣内はトロトロ、肉の襞は絡みつくと言うより纏わりつく。完全に出来上がった極上のヴァギナだ。
「……ぁ、ぁぁぁぁ――」
 絶望に打ちひしがれて完全に無抵抗になった彼女の体を、俺は好き放題に蹂躙した。
 突き立てたペニスをグラインドさせ、膣内の感触を思うままに味わう。乳房を揉み、掴み、捏ね回す。乳首に吸い付き、摘み、抓り上げる。口をあけさせて舌を入れ、口腔を舐め上げ、唾液を啜る。
「うは、あは、あははははは! 分かってるか? アンタ今、娘のベッドで犯されてるんだぜ」
「ぃ――ぁ、……っ。ぁぁ」
 最早彼女は目の焦点が合ってない。よだれも愛液も垂れ流しだ。小刻みに体を震わせ、唯ひたすら暴虐に身を任せている。
「――ひぃっ!!」
 しかしながら犯している相手が茫然自失というのも面白くない。ガブリと胸に噛み付いて俺は彼女の目を覚ました。
「ヒヒヒ! 歯型がついちゃったなぁ! 暫く旦那と出来ないなあ奥さん!」
「やぁ、助けて……誰か――助け……て」
「は、は、は! 出すぞ出すぞ。たっぷり注いでやる!」
「やめ――やめッ! いやぁああ! もう助けてぇえええ」
 絶叫。慟哭。哀願。その全ての声が愛しくて、俺は彼女の膣内に、宣言通り、たっぷりと精液を注いだ。
 脳内でバチバチと弾ける音がする。それほどの強い快感に襲われる。
 ああ、蹂躙こそ――正に至上の快楽だ。

「嫌、嫌ァ。……助けて、誰か――助けて……」
 白痴のように焦点の合わない目で、ひたすらどこかの誰かに助けを求める佐藤さん。だが、そう都合よく助けなんて来るはずもなく、彼女はその後、俺の精液を2度受け止めた所で失神。やるだけやった俺は満足して、また一服。彼女が寝ている間、旦那のパソコンを使い、先程の写真をネットに流しつつビールを啜った。

 この家の旦那が帰ってくるのはまだ先の話だ。少なくとも3日は俺の好き放題に出来る。焦る事は無い。何しろ最初の一日だってまだ終わっちゃいないのだ。
 日が落ちて夜になったら何をしよう。若い奥さんに何をさせよう。
 口でさせてもいい。首輪をつけてもいい。尻を責めてもいい。痕がつくほど打ってもいい。
 でもまぁ、やはり一番は膣に精液を注ぐ事だろう。
 ああ、妊娠したら面白いだろうなぁ。

 うつらうつらとまどろみに身を任せ、俺は幸せを感じながら、僅か先の未来に思いを馳せた。

 今日という日は、まだ終わらない。



 ――了。

モ ドル