宵闇の散華譚

 日曜日ともなれば、学生や社会人の多くは休日となり、各々が自分や家族の為に好きな時間を過ごす。だが、サービス業やそれに類する仕事に従事する者などはむしろ日曜こそが掻き入れ時だ。
 そこに来て我らが悪の秘密結社、ダークネス・オーガストはどうかと言うと、これが様々である。秘密研究所の職員などは普通に休日を取るが、それ以外は年中無休だ。基本はシフトだが、怪人になると場合によっては休みの日でも呼び出しがかかる。
 というわけで朝も早よから呼び出された俺は、組織の専用バスに揺られて、一路、某私立大学を目指していた。目的は、その大学の歴史学教授が南米で掘り当てたという石版である。謎のモノリスとしてニュースでも大々的に報じられたそれを奪取するのだ。何でも、かつて南米に現れた謎の神についての記述があるそうで、研究所から「是非とも欲しい」という要求があったんだそうだ。
「イーッ! ニャルボーン様。そろそろ着きます」
「OK! 皆、準備はいい?」
「イーッ!」
 今日の任務はスピード重視なので、学生の少ない休日を選んだわけだが、戦闘員達の士気は高い。無事に石版を奪取した後なら、手ごろな女子大生を2・3人攫ってもいいと言われているのだ。かく言う俺もワクワクが止まらない。
「イーッ! 行きます!」
 運転手を務める戦闘員12号が叫ぶ。同時に俺達はバスの中で衝撃に備える。そして数秒後、俺達の乗った黒いバスが、大学の閉じられた門に突撃。そのまま敷地内に突っ込んだ。チタン装甲仕様バスの面目躍如である。
 石版を安置してある某教授の研究室の位置は予め調査済みだ。バスは俺達を乗せたまま、尚も進む。途中、何人かの学生を跳ね飛ばしたが、全て男だったので運転手は気にもしていない。ただ、女子学生だけは器用に避けて走る辺り、彼もプロである。元は群馬で豆腐屋をやっていた男なのだそうだが。
「イーッ! ニャルボーン様、あの建物ですっ」
「おう了解。じゃあ突入するぞ! A班は先行して通路の確保、B班は俺と一緒に梱包材を持って後を追う。C班はバスの護衛だ。各班抜かるなよ!」
「イーッ!」
 俺の号令に従って、停止したバスから一斉に戦闘員が飛び出す。6人1組のチームが3つ、役割に沿って行動を開始した。
 組織の研究所が開発したショックガンを抱え、雄叫びを上げて突入するのがA班。B班は梱包資材をバスから下ろし、A班に続いて建物に入る。C班は物珍しげに近寄ってくる野次馬学生に容赦なくショックガンを向ける。相変わらず惚れ惚れするようなチームワークだ。特殊部隊も顔負けだろう。
 俺もうかうかしてはいられない。非武装のB班を援護すべく、のっぺらボディに変身し、体長を2メートル弱に調節して突入を開始した。
「イーッ! イーッ!」
 目指すべき某教授の研究室は3階だ。エレベーターは万が一止まって閉じ込められると恥かしいので階段を使う。大した距離ではなく、人の出入りは少ないので辿り着くのは楽だった。
「や、止めてくれ……頼む。う、うわああっ」
 A班が制圧した部屋には3人の研究員がいた。男が2人、女が1人だ。3人とも若い。恐らく学部のゼミ生か教授付きの院生だろう。男2人は戦闘員のショックガンで弾き飛ばされている。が、問題は部屋の隅でガタガタ震えている女だ。白衣と楕円の眼鏡が良く似合う美人なのである。
「イーッ! ニャ、ニャルボーン様っ!」
「あー、梱包が終わって撤収するときにね」
「イーッ! 了解であります!」
 是が非でも拉致りたいですと言外に訴える戦闘員に軽くOKを出すと、歓声が上がった。現金な連中である。そして最高だ。
 そんな事をしている内にB班が石版の梱包を終えたようだ。そう大きな物ではないので4人いれば十分運べるようだ。
「じゃ、撤収するぞ。A班は退路の確保。B班は石版と眼鏡白衣さんの運搬だ」
「イーッ!」
「い、いやぁぁ。助け――助けてっ! 誰かぁ……」
 首尾よく事を終えた俺達は、建物の前に止まっているバスに向かって走り出した。後は美人女子大生をもう1人2人拉致して引き上げれば終わりだ。
 だが、そう簡単に事が運ばないのも、やはりお約束という物である。
「イーッ! ニャルボーン様ッ! C班からの連絡です。現在、二人組の正義の味方と交戦中、救援求むっ!」
「分かった、直ぐ行く」
 やはり来たか、お調子者どもめ! 俺は階段の踊り場から壁をブチ破って外に出ると、翼を広げてバスの元へと飛んだ。
 さて、今日の相手はどんなヤツだろうか。


宵闇の散華譚 三夜目


 C班はショックガンで派手な衣装の二人組を相手に応戦しているが、既に4人が倒れている。俺は彼らの側に着地すると、先ずベホマラーを唱えた。因みにザオリクも使えるので、なるようになっちゃっても何とかなるのが安心だ。
「ッ! 出たわね、怪人め。覚悟しなさい、貴方を塵に還してあげるわッ!」
「姉さん、気をつけて。噂よりずっと強そうだよッ」
「黙ってなさいッ! 私は、アクアマリンの仇を取るんだから!」
「ね、姉さん。熱くなっちゃダメだ。憎しみの心は正義を曇らせるよっ」
「うるさい、うるさい、うるさーいッ!」
 何やら俺が登場すると味方同士で言い争いを始める2人組。薄いイエローと白のコスチュームを揃いで着ている。中学生くらいの女の子と、彼女より若干背の低い男の子だ。どうやら姉弟らしい。しかもアクアマリンとは知り合いだそうな。正義の味方業界の繋がりを知りたい所である。
「イーッ! 助かりました。ニャルボーン様」
「なんのなんの。仲間じゃないか」
 C班が体勢を立て直すと同時に、A班B班もバスに到着。梱包された石版と白衣眼鏡さんをバスに積み込み、3班合流していつものように俺と正義の味方を取り囲む。俺達の必勝パターンだ。こうなると野次馬も大事なギャラリーである。戦闘員がショックガンを油断無く向けるが、邪魔さえしなければ見学は望む所だ。
 と、こちらが仲間同士の見事な連携を見せ付けたというのに、肝心の正義の味方は未だに仲間同士で争っている。というより姉の方が一方的に弟を叱りつけているようだが。
「おいおい、姉弟喧嘩は良くないぞ。仲良くしないと」
「そ、そうだよ。姉さん」
「あ、あんたっ! 何をママ見たいな事言ってるのよ! ヒカルも頷いたらダメでしょッ!」
 小柄で顔は可愛いが、これまたエラク気の強い女の子だ。戦闘員を含め、ギャラリー一同も首を竦めている。
 すごすごと小さくなって俯く弟の背中を叩き、姉は正義の味方恒例の名乗り上げに入った。
「光満ちる世界に、邪悪の住まう場所は無し!」
「た、太陽と月がある限りっ。ぼ、僕らは、戦う明日の為に」
「ヒカリ!」
「ひ、ヒカル……」
「二人合わせて、超光機動!」
「しゃ、シャ……シャイン・スターズっ」
 なるほど。超光機動シャイン・スターズのヒカリちゃんとヒカル君ですか。どの辺が「機動」なのか今いち不明だが、必殺技辺りに答があるのかもしれない。
 それは兎も角、野次馬は大盛り上がりだ。そこかしこから携帯のカメラのシャッター音が聞こえるし、男子学生の「ヒカリちゃーん」という野太い声も上がっている。弟君はショタッ気のある女子学生に大うけらしく、可愛い可愛いという歓声が後を絶たない。
「イーッ! 流石に大学生はノリがいいッスね」
「困ったもんだ。日本の将来が」
 B班に加わっていた戦闘員24号がいつものように俺の傍らに来てヤレヤレと肩を竦める。だが、大学生さんをなじるのは、先ず手に持ったデジカメを仕舞ってからにすべきだと思う。
「むむ、無視してるんじゃないわよーッ!」
「だ、ダメだよ姉さん。周りにいる人に当たっちゃう」
「いいのよ! そんなの自業自得だもん。ええぃっ、シャイン・レーザーッ!」
 何が気に入らないのか、テンパっているヒカリは手に持ったバトンを回転させ、技名通りの光線を発射して俺を強襲する。正義の味方らしからぬ豪胆な戦いぶりだ。こんな事態に慣れた戦闘員さんたちはヒョイヒョイと回避するが、野次馬がそうもいかず、5・6人が吹っ飛ばされている。俺は勿論無傷だ。
「くーっ、やるわねアンタっ! でもこれはどうかしら。シャイニング・レインボーッ!」
 被害状況を眺めてオロオロしている弟を尻目に、姉のヒカリはヒートアップ。頭上に掲げたバトンをクルクル回しながらジャンプ。5メートルほど飛び上がった所で俺に向かってバトンを突きつけた。
「あぅ、ダメ……。と、撮らないで」
 バトンの先端から光線がシャワーのように噴出し、俺の全身に降りかかる。夜であればさぞ美しかろうが、今は昼なので派手なエフェクトも映えていない。因みに弟君は更に拡大する野次馬の被害を心配しつつ、高く飛び上がって丸見えになった姉のパンツを撮らないで欲しいと懇願している。きっと普段から姉のフォローばかりしているのだろう。フォローが出来ているかは兎も角。
「うん? 懐中電灯でも点けたのか? 今は明るいぞ」
「嘘……っ。まともに当たったのに、傷一つ無いなんて――」
 着地したヒカリは呆然と俺を眺めて悔しげにわなないた。かと思うと、弟の頭をポカリと叩いて叱り付けている。
「ヒカルッ! あんたも戦いなさいよっ、見てるだけじゃアイツは倒せないわよ!」
「で、でも……アイツ強いよ。僕の技じゃ、きっと叶わない」
「う、うぅーっ。それもそうね」
 姉ちゃんヒデェ、という声があちこちから上がる。言っている事は確かに酷いが、もっともでもある。2人の合体攻撃などもきっとあるのだろうが、それでも勝てる気はしていないだろう。幾らか冷静になったヒカリの顔は苦々しく歪んでいる。
 そろそろ、俺のターンを始めてもいいのだろうか。そう思った矢先、ヒカリは意を決したようにバトンを右斜め上に突き上げた。
「ヒカルッ! こうなったら仕方ないわ。行くわよっ!」
「で、でも。姉さんっ……ここでアレをやったら、周りの人が危ないよ」
「いいのよっ! ヤバイと思ったら自分から逃げるでしょ。今はアイツを倒すのが先よ!」
「う、うん……」
 まだ何か奥の手があるらしい。しかも広範囲攻撃のようで、弟君が躊躇している。ただ、野次馬が逃げるくらいの時間はあるらしく、結局は姉に同意して自分のバトンを左斜め上に掲げた。
 2本のバトンが2人の間でクロスされ、バッテンを描くと、彼らの頭上に魔方陣が浮かび上がる。確かに奥の手に相応しい演出だ。一応は警戒して戦闘員達に目配せを送る。俺は大丈夫でも戦闘員達は基本的に生身の人間が全身タイツと白い仮面を被っているだけだ。本当にヤバイ攻撃を受けたらひとたまりも無い。
 やがて魔方陣が昼にして尚眩しいほど輝いたかと思うと、シャイン・スターズの姉弟が虚空に向かって高らかに叫ぶ。
「正義の光を灯すためっ、出でよ! 超光機動」
「シャ……シャイニング・スターっ」
 出でよ、と言うからには何かを召喚するらしいが。果たして出て来たのは――。
「イーッ! ニャ、ニャルボーン様っ! 上空に謎の飛行物体がっ」
「イーッ! で、デタラメだ……。まさか、そんな」
「イーッ! きょ、巨大ロボットだとっ!」
 全長20メートルはありそうなロボットだった。しかも永野護っぽいメカデザインで、腰が細くて足が太い、半端なリアル系。姉弟のコスチュームと同じ、薄いイエローと白のカラーリングが施されたそれは、2人の後ろに着地してメカメカしい効果音を奏でる。ガキーン、とか。そんな感じの。
 これには流石の俺も驚いた。ある意味、俺以上にデタラメだ。ただ、学生さん達は大喜びである。歓声とどよめきが後を絶たない。
「さあ、観念する事ね! これにはアンタも叶わないでしょう!」
「に、逃げてー! み、皆さん、逃げてくださーいっ」
 本来は広い場所で同サイズの敵と戦うための物なのだろう。調子に乗って高笑いするヒカリの後ろで、ヒカル君が必死に野次馬に避難を呼びかけている。勿論、誰一人として聞く耳持たないが。
「ねねね、姉さんっ。人が、人がーっ」
「だから、いいわよ、そんなの! さあ、シャイニング・スター、そいつを踏み潰しちゃえっ」
 自律型なのか音声作動型なのか、ヒカリの命令で動き出したロボは、片足を上げて勢いよく俺を踏みつけてくる。ホッとしたのは俺だ。乗り込んで操縦されたら困る所だった。
「ひょいっ、と。――ふんッ!」
 何故なら2人が乗ったまま投げ飛ばしたら、後のお楽しみがなくなるからだ。片手でロボットの足を掴んで空に向かって放り投げ、パンパンと手を払う。何故か場の空気はシーンとしていた。
 察するに、あっさり片付けすぎたらしい。お陰で我を取り戻した学生さんたちから大ブーイングだ。巻き込まれようとしていた所を助けたのに。いやはや、何て頼もしい連中だ。
 一方のシャイン・スターズはロボが飛んでいった方向を見つめて立ち竦んでいる。片や絶対の自信、片や過剰攻撃と思っていたのが瞬殺されただけにショックも大きかろう。
 さて、ようやく俺のターンが来たわけだ。
「出し物は終わりかな、お二人さん?」
「えっ――、あ、あぁぁ……」
「ひっ! 助け……て」
 触手を背中から伸ばして2人の肩を叩くと、姉弟はギョッと振り向き、顔色を変えた。正に蛇に睨まれた蛙状態で、拘束していないのに身動きを取れていない。
「ふんふんふーん。さぁ、どうしてやろうか」
 2人の手足を触手で掴み、例によって持ち上げる。今日はギャラリーを意識してやや高めだ。後ろの人もよく見えるようにと言う配慮である。ただ、ちょっとした趣向を思いついて弟君は引き寄せて前を向かせた。姉弟が正面を向き合っている感じだ。ヒカル君に、お姉ちゃんの痴態をじっくり眺めてもらおうという腹だ。日頃から溜まっている筈の姉へのうっぷんを、この機会に晴らさせてあげようという、言わば兄貴心と思っていただきたい。
「ふぁふぁふぁ。ヒカリよ、小柄な割にちゃんと育っているじゃないか」
「い、いいぃぃやああっ! へへ変なとこ触らないでよっ!」
「ね、姉さん……っ」
 ヒカリの腕を背中に回し、胸を反らせて可愛らしい乳房に手の平触手を這わせる。展開がエロ方向に進んだ事で、さっきまでブーブー言ってた野次馬も生唾を飲んで静まり返った。ヒカルはというと、首を横にして顔は逸らすものの、エロスの誘惑には耐え切れず、視線は姉の胸を向いているようだ。青春である。
「味の方はどうかな? へぇ、ふむふむ。これは中々」
「や、ヤダって言ってるで……っ! な、何コレ、こ、怖いっ」
 無数の触手が、ヒカリのヒラヒラな衣装の中に潜る。スカートから覗く健康的な足に絡みつき、ブラウスの襟から鎖骨と胸元をスリスリと。
 ツンツンした彼女も流石に涙目になり、そのギャップが男心に火をつけたのか、戦闘員達は元より、学生達も本格的なビデオカメラを用意している。携帯やデジカメのシャッター音はひっきりなしだ。アイドルの撮影会もかくやの盛況ぶり。
「きゃああッ! やだ、やだよう……こんなの。助けてッ、ヒカル! ヒカルぅぅ」
「……ゴクッ。――ッ! ね、姉さんっ。姉さんッ! は、離せ。姉さんを離せぇ」
 触手が徐々にヒカリの大事な部分を這うに至り、ついに彼女は泣き出して弟に助けを求めた。ヒカルもそれに答えて大声をあげ、首を振ってもがく。が、彼が姉に見入って生唾を飲んだ瞬間はギャラリーの誰もが確認している。皆揃ってニヤニヤ顔だ。
「まぁまぁ、ヒカルよ。素直になったらどうだ。うん? 姉には思う所もあるだろう。何、怪我させたりはしないって。少し恥かしい目に合うだけだ」
「う……でも、でも。やっぱり、ダメだよ。姉さんっ、姉さんを離せ! か、怪物め」
「ヒカルぅ……ヒカルぅぅ」
 弟君は頑張って俺の触手に抵抗している。だが、少しだけ考え込んで躊躇したのは明白だ。やはり普段から思う所があったらしい。素直に感動しているヒカリに目を合わせないのが何よりの証拠だ。可愛いのう。
 無論、ヒカリへの辱しめを少しで済ます俺ではない。スリスリと擦るだけだった触手は、いよいよ本領を発揮。中学生のスベスベな肌を思う様堪能し、半分を例によって舌に変えて舐め上げる。加えて、少しずつ衣装を剥いでいった。
「あっ、ちょっ! んっ……ん! だ、だめぇ! 脱がさないで……か、返してよ」
 ブレザータイプの上着をゆっくりと肩から外し、同時に白いニーソックスを下げる。クネクネと身を捩って脱衣を防ごうとする彼女だが、あらゆる方向から伸びる触手にはなす術も無い。
「よろしく、24号」
「イーッ! 万事了解です」
 脱がしたブレザーとニーソ、それと靴を戦闘員24号に渡す。と、ヤツも心得た物で、即座に反応し『ブレザー 500円から』のプラカードを掲げた。時ならぬオークションに即座に対応する学生達も大した物だ。千円、二千円という怒鳴り声があっという間にあちこちから上がる。
「やだ、やだ、やだぁああ! 私の服、私の服売らないでよぅ……」
「み、皆さーん。買わないで、買わないでくださーいッ」
 寄ってたかって自分達を苛める大人たちに、子供らは泣きながら抗議する。だが、熱くなった群集には、それすらも良い餌だ。会場は今や大盛り上がりである。
「今度はー、ブラウスー」
 細い触手を使ってテキパキとボタンを外し、ヒカリのブラウスを脱がしにかかる。ついでに彼女が身に付けている魔法少女っぽいアクセサリーも外してしまう。首のチョーカーだけはそのままにしておくのが俺のジャスティスだ。
「はい、ブラウス収穫しましたー」
 高々と脱がした白いブラウスを触手で見せびらかすと、観衆からは「おおお!」という歓声があがる。24号も大忙しだ。他の戦闘員も撮影班以外はオークションの運営に協力。俺を中心として円を描くようにKEEP OUTのロープを張ると、24号の手伝いに回る。
「じゃあ、スカート行くぞぅ」
 こうなると俺もノリノリだ。ヒカリちゃん自体をギャラリーに見せ付けるようにゆっくりと回転させながら、短いスカートのホックを外し、ジッパーを下ろしていく。
「うぐっ――やだよぅ、やだよぅ……」
 そしてスカートが下ろされると、可愛らしいパンツが丸見えになった。お尻にデフォルメされた猫のイラストが描かれた木綿のプリントパンツだ。飾り気の無い白いブラジャーと相まって、可愛らしい事この上ない。ツンツンと威張っていても、所詮は中学生の女の子だのう。
 ついに下着姿になった姉の姿に、弟のヒカル君は顔を背けて俯いてしまった。それでもヒカリの泣き声を大歓声の隙間から捕らえると、何かを叫んでいる。「もうやめてよ」と言っているようだが、ギャラリーの声が大きすぎて誰にも聞こえていない。
 オークションの様子はと言うと、これが空恐ろしい繁盛振りだ。ブレザー、スカートは共に10万円の大台を突破。ブラウスとニーソに至っては20万円の後半で落札争いが行われている。各種アクセサリーも高値がついて、24号以下の戦闘員達はホクホク顔だ。
「さーて。ブ・ラ・ジャー、行ってみようかー」
 それまでの衣装が落札された頃を見計らって、俺はついに目玉商品に触手を伸ばした。気の早い学生から10万20万という掛け声が上がる。金の無い連中も目がギラギラと輝いて、大変な盛り上がりだ。
「ふっふっふー。それ。プチッとな」
「い、嫌あぁぁぁッ! やだ、やだぁ。誰にもっ――見せた事無いのにっ」
「ね、姉さん……」
 背中のホックを外し、じわじわと小振りな胸を観衆に晒していく。それまでの熱気はそのままに、示し合わせるように静まり返った学生達がゴクリゴクリとツバを飲む。やがて、なだらかな丘の先端から小さな桜色の乳首が顔を覗かせると、周囲はハァハァという生暖かい息遣いで一杯になった。ブラジャーが完全に脱がされ、小さな乳房がフルンと揺れると、ギャラリーの息遣いは一気にどよめきに変わる。映画スターでもここまで本気の歓声は受けた事ないだろう。やはり本能に根ざす興奮は強い。
「うわあああんっ! 助けて、助けてぇ……ヒカルぅ、助けてよ、ヒカルぅぅ」
「ゴクッ……ね、姉さん」
 悲しいかな、ヒカリちゃんの必死の叫びは学生達の歓声にかき消され、弟の耳にまで届いていない。当のヒカル君は顔を真っ赤にして俯いたまま。だがチラチラと姉の生乳を盗み見している辺り、思春期である。
 オークションに回されたブラジャーは、とんでもない勢いで値が吊り上がる。異様に興奮した学生達は、携帯でどこぞと連絡を取り合い、金策に必死だ。最終的には55万7千円の値をつけた小太りの男の物になり、拍手で締めくくられた。
 呆然とそれを眺めていたヒカリは、今の今までつけていた自分のブラが小太りの男に頬擦りされている光景にボロボロと涙を溢した。マジ泣きだ。そんな姉の様子に、弟君の中の漢に火がついたのか、ヒカルは拳を握って絶叫する。
「もう、もう止めろよーッ! 僕の姉さんを苛めるなぁぁっ!」
 その叫びに一瞬は静まり返る群集だが、ヒートアップした彼らに水を差すには至らなかったようだ。何故か学生の群れは大喜びで「いいぞ、いいぞ。ヒカルくーん」などと囃し立てている。
「イーッ! 私らが言うのもなんですが、酷い連中ですねぇ」
「いやはや。この国の将来はカオスだな」
 小さくもちゃんと揺れる胸を晒したまま、ぐしぐしと泣き喚く姉。そしてやっぱり自分も泣きながら、口を真一文字にむすんで拳を握る弟。この状況で解放してあげればヒカリは、これ以後ヒカルの頭をポンポン叩く事もなくなるだろう。良い事だ。
 かと言って、ここでやめては怪人の名がすたる。むしろここからがメインなのは言うまでも無いだろう。
 学生達の歓声が一段落した所で、俺はヒカルを手繰り寄せ、その撫肩にポンと手の平触手を置いた。
「ヒカルよ。姉ちゃんを助けたいか?」
「ひうっ……え? あ、うん。助けて、僕の姉さんを返して」
「そうだろう、そうだろう。では、最後の一枚をお前が脱がすのだ。それを売り払ったら離してやろう」
 俺の悪魔の提案に、彼はポカンと口をあけた。が、意味を悟ると途端に顔を真っ赤にし、ガクガクと顎を振るわせてうろたえる。
「ぼ、ぼぼぼ、僕……そんな事出来ないよ」
「そうか? ならばお前の姉ちゃんは俺様が連れて帰ってしまうぞ。その方がいいのか?」
「だだだ、ダメだっ。姉さんは、僕の姉さんなんだから――っ」
「ぬふふふふ、よく言った。じゃあ、近付けてやるから姉ちゃんのパンツを脱がすのだ。ヒカルよ」
「う、う、うぅぅぅ」
 未だ煮え切らない彼を、姉の方へ移動させる。触手は手首から脇に移動し、腕を動かせるようにした。後はヒカル君次第で面白い見世物が生まれるのだが。さて。
 磔にされたように空中で十文字の体勢にさせられたヒカリは、近付いてきた弟に哀願するように助けを求める。俺達の会話は聞こえていなかったようだ。泣きながら弟の名を呼び続けている。が、ヒカルの手が自分の腰に触れると、驚いたように顔を上げた。
「ヒカル? ヒカル――っ! えっ、な、何? 何するのっ」
「ゴメンなさい……ゴメン、姉さん。でも――でも、こうしないと姉さんが」
 ブラボー。
 姉の腹が目の前に来る位置に移動させられたヒカルは、間近に見えるヒカリの生乳を暫くはチラチラと見上げたりしていたが、やがて意を決したように彼女のパンツに手を伸ばした。
「こうすれば、こうすれば離してくれるって、あの人が……」
「やっ、ややや、やだぁぁっ! 止めてよヒカルぅ。お願いだからぁっ」
「ゴメン、ゴメンね。姉さん、姉さんっ」
 謝りながらもヒカルは姉のパンツをゆっくりと下ろしていく。魅入られたようにヒカリの股間を直視する目はどこか虚ろ。泣き叫ぶ姉の声が全く耳に入っていないようだ。やがて黙り込み、荒い息を吐きながらゴクリと喉を鳴らす。
 喉を鳴らしたのはギャラリーもで、この超展開に息を凝らして見入っている。
「はぁ、はぁ……姉さん。僕の、姉さん……」
 虐げられながらも、実は姉萌えだったらしいヒカルが、ソロリソロリとヒカリのパンツを下げる。極薄っすらとした生えかけの恥毛が、そしてその下のピタッと閉じ合わされた割れ目が、徐々に姿を現す。観衆は声も無いが、その分熱気だけは高まっている。ここだけサウナのようだ。明らかに二酸化炭素が多く、酸素が薄い。
「はぁ……はぁっ、あ、あぁ。姉さんの、姉さんの――」
「見ないで、ヒカルぅ……。見たら、うっ、ぐすっ――ダメなのぉ」
 イヤイヤと首を振るヒカリに、ヒカルは気付かない。熱に浮かされたように姉のパンツを擦り下ろし、ついに足首を通過させた。可愛らしいプリントパンツはそのまま触手を伝い、俺の手元にまでやってくる。そこで器用に触手を蠢かせ、手品のようにパンツを抜き取って見せるが、観衆の反応は今一つだった。皆、姉弟に注目しているからだ。現金な奴らめ。
「あっ、ぁ。だめ、見ないで……」
「姉さん。姉さん――姉さん、可愛い」
 ヒカルもまた、姉の股間をジッと見つめたままだ。
 まぁいい。それならそれでサービスしてあげようと、俺は揃えて真っ直ぐ下に伸ばされたヒカリの両足を先ず大の字に開き、膝を触手で持ち上げていく。お決まりの空中M字開脚だ。至近距離で割れ目を見つめるヒカルには堪らんだろう。
「やっ、やっ! 嫌ッ――見ないでったらぁ……ヒカルぅぅ」
「うわ、うわあぁぁ……」
 目の前に曝け出され、ホンの僅かに口を開いた姉の陰唇に、思わず素直な感嘆を漏らすヒカル君。目は釘付けで、恐らくは無意識の内にだろうが、右手が伸びている。
「ヒッ、く。ぐす……。もう、もう、嫌ああああぁぁぁッッ!」
 だが、その手がヒカリの股間に触れる前に絶叫が木霊し、ヒカルはハッと己を取り戻した。そして今更のように抗議する。
「あ、あぁ! は、離せようっ! 姉さんを離せようッ、約束だろっ!」
「うむうむ。ちゃーんと離してやるぞ。パンツも取ったしな。ホラ、離すぞ」
 俺は2人を怪我させないようにゆっくりと地面に下ろし、幾らかホッとした様子のヒカルの前で、しゃくりあげる全裸のヒカリを縛る無数の触手を緩め、ヒョイと上空に放った。
 ――1本だけを。
「はい、離したーッ!」
 そして呆然とする姉弟を再び上空に持ち上げる。ヒカリちゃんはMの字に、ヒカル君は適当に。
 見守る観衆は大ブーイングだ。口々にヒデェヒデェと俺を罵る。しかしながら皆、一様に笑顔だ。目元口元をだらしなく歪めた類の。
 ギャラリーはちゃんと分かっていたのである。この流れで、俺がこの2人を解放する筈がないと。
「さーて、皆さん! ヒカリちゃんのパンツ、先ずは1万円からだ!」
 先ほど取った彼女のパンツを、24号が掲げた銀のトレイに乗せると、たちまち学生達の金額を叫ぶ声がキャンパスに響く。良く見れば、中には中年や初老の男性の姿もある。休日出勤していた事務員や講師、そして教授先生のようだ。素敵な大学に乾杯。
「はいはーい、注目ー! この子の、この部分を包んでいたパンツだよー」
 更に観衆を煽るべく、俺はヒカリちゃんをM字のまま晒し者にする。泣いて俯いた顔を触手で上げさせ、グルリと辺りを取り囲む連中に見せ付ける。一本の触手の先端を矢印型にして、彼女の股間を指し示しながらだ。
 ヒカル君は完全に無視され、為す術もなく、一人わあわあと喚いている。ちょっと可哀想になってきた。後で良い目を見せてあげよう。
 オークションは大勢が決してきたようで、今や一騎打ちの様相を呈している。争っているのは黒ブチ眼鏡の学生とロマンスグレーの老紳士だ。というか、あの紳士は確か石版を日本に持ち帰った史学教授の筈。恐らくは石版強奪の連絡を受けて駆けつけたのだろうが、そんな所で一体何をやっているのか。
「イーッ! さぁ、95万出ました。95万! まだあるか、まだあるか!?」
 ノリノリの24号の横で、戦闘員32号が『¥ 950,000』と書かれたホワイトボードを掲げている。因みに、パンツが安置されている銀のトレイも、このホワイトボードも、学生達が持ち寄った物だ。トレイの方はきっと用意した学生が持ち帰る事だろう。学校の備品なのに。
「ぐ、ぐむぅぅ――。俺も男だ! 100万ッ!」
「120万ッ」
 意を決したように拳を振り上げ、学生の方が100万のコール。だが悲しむべきは学生の身分。大学教授の財力には敵う筈もなく、即座に120万のコールを返され、銀ブチ男はガックリと膝を着いて涙を流す。本気の号泣に周囲からも惜しみない拍手が起こった。
「イーッ! ロットナンバー10『ヒカリちゃんのパンツ』は、そちらの紳士が120万円で落札です」
 パーン、パカパーンと、ついにファンファーレまで鳴り出した。近場で練習していたらしい吹奏楽サークルの憎い演出である。懐から取り出した小切手帳にサラサラと金額を書いて戦闘員24号に渡す教授は流石に貫禄で、手を振ってギャラリーの歓声に答えている。高校を卒業したら、是非この大学に進もう。
「……っ。ぐす、グス」
 対照的なのがヒカリヒカルの姉弟で、最早叫ぶ気力もなく、どちらも鼻を啜って萎れている。まぁ、無理も無いが。
 だが、2人をいつまでも萎れさせている俺ではない。彼らには、もう一幕の間、舞台に立って貰わなければならないのだ。
「さて、日本が誇るジェントルメンの皆様方。先ずはオークションにご参加頂きまして、誠に恐縮であります。これよりは第二幕、私、怪人ニャルボーンによる『ヒカリちゃん陵辱ショー』をお楽しみください」
「……えっ。い、いや――止め、止めて……お願い」
 そんな訳で、既にグロッキー気味なヒカリちゃんを容赦なく触手が襲う。視覚的に肌色の量を多くする為に、触手は全体的に細めだ。且つ、ギャラリーには分からない部分で2人には軽い興奮剤を注射する。グッタリしたままでは見た目にも面白くないし。
「さあ、ヒカリよ。たっぷり可愛がってやるからな」
 学生及び大学職員の大声援を受けて始まった陵辱ショーは、先ず彼女の冷えた身体を温める所から始まった。性的な意味で。
 うなじや乳房、そして乳首、脇腹といった上半身の性感帯をゆっくりと擦り、撫でる。ヒカリ本人にしか分からないだろうが、全ての触手は肌に触れる部分に繊毛が生え、細かく蠕動している。ただ撫でるよりずっと刺激は強いのだ。
「ヒィっ! や、や、やああっ! 気持ち悪いよぅ――っ」
 精神的に参っていた上に、体その物が未成熟なので流石に直ぐには良くならない様で、彼女は本気で気分が悪そうだ。責め方を変えよう。繊毛による蠕動刺激を中止し、先端を手の平型に変えた触手でソフトな愛撫を行う。性感帯を直にではなく、全身を優しくマッサージするように。
「んっ、んっ。ふぅっ、ふぅ……嫌ぁ。撫で、ぁ――ないで」
 この針路変更が功を奏したのか、ヒカリちゃんは口でこそ嫌がっているものの、確実に良い方へ向かっている。ビジュアル的にも徐々に上気していく肌が幼くも艶かしく、ギャラリーは大喜びだ。
「お、結構良くなって来たんじゃないのか? ヒカリよ」
「そんな事な――ッ。んぁっ、い、嫌っ。気持ち……んっ、悪いのに」
 折からの熱気と低酸素状態、そして興奮剤の効果もあって、彼女の思考力は普段の半分以下だろう。4分の1以下かもしれない。周囲の状況を忘れて、触手による愛撫に体の力が抜けつつある。
 忘れてはならないのが弟のヒカル君で、最初こそは泣いて叫んでいた物の、始めて耳にする姉の女としての声に口が半開きだ。白いスラックスの股間部分も盛り上がっている。今日の記録映像はなんとしても彼に渡してあげたい物だ。ポータブルDVDプレーヤーもセットで。きっと喜ぶぞう。
「ふあ……ぁあっ、あっ! やだぁ……私、私のおっぱい、吸うなぁ」
 ヒカリちゃんの体が温まってきた所で、急所への責めを再開。軽く勃起した乳首を、先端を口にした触手で含み、ちゅうと吸い上げる。更に舌で乳首を転がすように舐め上げると、敏感な神経がたちまち反応する。乳輪が小山のように盛り上がり、乳首は膨れて硬度を増した。そのまま乳房を別の触手で優しく撫でると、ついに彼女は甘い吐息を虚空に吐いた。完全に感じ出したのだ。
「んっ、んあっ。ふぁ、何……これ。んっ、ジンジンして――おかしくなりそっ」
 への字になった口からは啜りきれなかった唾液が僅かに零れ、キュッと瞑った目尻は、だが垂れ下がって元のツリ目に戻らない。
「クックック。どうよ、ヒカル。弟的に見て、姉ちゃんの様子は」
「……えっ! あ、あれ。僕、僕は……その」
「良い声で鳴いているだろ? ほら、あんなに顔を赤くして」
「で、でも……姉さん、泣いてる。な、泣いてるから」
「ふふふふふ。案ずるなヒカル。あれはな、気持ち良くて鳴いているんだ。お前も男なら分かるだろ?」
 真っ赤になってしまうヒカル。キョロキョロと視線を彷徨わせるが、目が正面を向く度に姉の痴態を見てしまい、更に頬の赤みが増す。俺や戦闘員達が失ってしまった初々しさだ。ある意味、羨ましくもある。
「イーッ! 私らにもあんな頃がありました」
「だよな」
 やがてボーっとした顔のヒカルが、全裸で触手に愛撫されている姉にきっちり向けられたのを確認し、俺もまたヒカリへと神経を集中させた。彼女の体を這い回る触手は、全て俺の感覚器官でもあるので、俺自身も大変に気持ち良いのだ。ただでさえ張りのある女子中学生の肌が、性感を得た事で温もりが増し、触れているだけで魂が高ぶる。
「あっ、あんっ! ん……はぁ。あぁっ! やぁぁ、だめぇーっ」
 そろそろ下半身の方も責めよう。俺はM字に開かれた彼女の細いももに触手を伸ばし、ソフトなタッチで擦りだした。最初は各足に一本ずつ、やがて徐々に触手の本数を増やし、撫で方も変えていく。サワサワと這うだけから、フニフニと柔らかい肉を揉んでいくのだ。範囲も広げていき、シミ一つない綺麗な尻にから、ほっそりとした腰までを優しく刺激していく。
「やぁっ、やあぁぁっ! だめぇ……私、私――っ。頭が、おかしく……」
 ここまで来ると初心な子供だったヒカリも、見事に女の反応を返すようになった。鼻に掛かる喘ぎ声は、最早全く神聖でない大学のキャンパスを桃色に染め上げ、見守るギャラリーたちを黙らせる。場の空気は静かでいながらも、異様に熱い。
「ふふふ。良い雰囲気になってきたな。これでこそ我がダークネス・オーガストの真骨頂よ」
「イーッ! そうでしたっけ?」
「しっ! 黙ってそういう事にしておけ。今いい所なんだから」
「イーッ」
 そろそろヒカリの方も限界が近い。俺は彼女に止めを刺すべく、チンコ触手を股間から取り出した。今日は観衆の目を意識して腕くらいの太さだ。思わずどよめくギャラリー達。だがこのままでは彼女の中に入らないので、先っちょからやや細めのチンコ触手を伸ばす。このギミックには何故か拍手が沸いた。
 さて、これを今から挿入するのだが、陵辱とは言いつつも歳若い女の子に苦痛を与えたくはない。そこで先日アクアマリンのアクアに使った痛覚麻痺を行った。うなじの下にチクリと痛みが走ったヒカリは僅かに顔をしかめたが、触手達の愛撫で直ぐに我を忘れる。これで準備完了。
「さあ、ヒカリよ。お前の中に俺の精液をたっぷりと注いでやるからな」
「えっ……? ふぁ、あっ。な、何――?」
「だ、だめだよぅ。そんな事したら、だめだよぅ」
 むう。悲鳴を上げて怖がるシーンなのだが、肝心のヒカリは頭がボーっとしているようで、事の次第に気付いていない。むしろヒカル君の方がオロオロと困り果てている。観衆は大声援だが。
「ほぅら。入れるぞぅ、ヒカリちゃーん」
「ひゃああッ! ヤダ、やだっ。止めてよぅぅ。ヒカルッ、助けてよヒカルぅぅ」
「姉さ――ッ! 姉さんっ、姉さんッ!」
 極細の触手で陰唇を開かれ、チンコ触手がそこにあてがわれると、流石にヒカリも何をされるのかに気付き、身を捩って暴れだす。そんな姉の様子に触発されたように弟のヒカルも叫び声を上げた。
「うん。何かホッとした」
「イーッ! 何がです?」
「いや、何でもない。じゃ、行くぞぅ。心の準備は良いかな?」
 と聞いては見るものの、イエスの返事が返ってくる筈も無い。勝手に始めさせてもらおう。身体の方は準備出来ているのだ。
 幼いながら立派に愛液を垂らすヒカリの柔肉を掻き分け、ペニスは侵入を開始。強い抵抗を、だが易々と貫いて純潔を奪う。この辺りの力加減にも慣れた物だ。息を飲む姉弟の視線が注がれる中、俺は更にペニスを膣の奥へ埋めた。
「は、は、入ってる。私の中にッ! や、やあああっ! 何これぇっ」
 ソフトな愛撫には気持ち良く反応して甘く鳴いたヒカリだが、やはり未経験の中学生だけに膣の方は発達していない。そう言えば催淫剤を使っていなかった。痛みこそないだろうが、今の彼女には異物挿入の恐怖と違和感があるだけだろう。敵対してきた正義の味方を怖がらせるだけなら、むしろこのままでも良いのだが、観客を喜ばすには、やはり良い声で鳴いて貰った方がいいだろう。恐怖に引きつった顔が長いと、見守る連中が引いてしまう恐れもある。
「ふふふ。なーに、直ぐに良くなるさ。素直に感じれば良い」
 恐慌状態一歩手前のヒカリの膣の中、チンコ触手の横腹に幾つも穴を開け、催淫剤を噴出させる。効果が出るまでは全身を愛撫だ。
「はっ、あっ。あう……んっ、やだ――私、急に……あうっ、あぅ」
 膣内の粘膜で吸収された催淫剤は劇的な変化を彼女にもたらした。強張っていた顔は緩み、体の力がスッと抜ける。頬も再び紅潮し、甘い喘ぎ声が戻った。
 破瓜の血を流す女子中学生が触手に貫かれて気持ち良くなっているという現実離れした光景に、観衆の目は釘付けだ。硬いツバを飲む音だけが木霊する。ヒカル君は呆然と姉の様子を伺っているが、体は正直で、スラックスはテントを張っている。
「そろそろかな? ヒカリちゃん。我慢せずにイッって良いんだぞ」
「あうっ、あふッ。んぁ――ッ あっ、私……私ぃ。もう、もうッ」
 滑りを良くする為に、ローションのような液体をチンコ触手から分泌し、足りない愛液を補う。お陰で抽送には何の不備も無い。ペニスを締め付ける膣圧は相変わらず強いが、その分だけ刺激も強い。俺にも、彼女にもだ。
 そうして段々とペニスの動きを早めていくと、ある瞬間にヒカリはブルブルと震え、高らかに鳴き声を上げた。
 達したのだ。性感の頂上まで。
 キューッと膣壁が縮まり、ペニスに食らいつく。僅かに遅れて、俺もまた精液を吐き出した。今回は子宮内ではなく、普通に膣内である。事後に、股間から精液を垂らす少女というビジュアルを優先させた為だ。膣洗浄をしやすくする為でもある。
「はぁ、はふ。ハフ……ぁ、あぁぁ。んああっ、私、もう。……無理」
「うんうん。気持ち良くなれたみたいだな。良かった、良かった。でも――」
 絶頂を迎え、全身を弛緩させたヒカリを、俺の触手はまだ離さない。それどころか、再び一本の触手が彼女の中に入る。達したばかりで敏感になっているヒカリは、グッタリしたまま意識を失いかける。これはいけない、少し体力を回復させておこう。
「ケアルっ」
「イーッ! ケアル!? ホイミじゃないんスか」
「同じ会社だろう」
 ケアルで体力の戻った彼女は、顔を激しく歪めた。自分の中に異物が入っている事を体が思い出したのである。敏感になった襞肉はそのままだ。膣の中をまさぐられ、激しく身悶えしている。
 俺はヒカリの中に吐き出した精液を観衆の前で掻き出して見せた。大量の白濁液が彼女の股間から溢れ出し、満場の観客は大きくどよめく。細かな繊毛を巧みに動かして膣内を綺麗にし、ローション状の液を追加して潤いを足す。ケアルの効果は確かで、初めてのセックスに傷ついたヒカリの中は、それなりに癒されていた。
 第2ラウンドの準備は万端と言うわけだ。
「さてヒカリよ。気分はどうだ? 気持ち良かったろう、うん? まだ良さそうだな」
「はぁ……んっ。グスッ、あぅ。……んっ、んっ」
 既に触手は抜かれているし、愛撫も中止している。だが彼女はトロンと目を潤ませ、微妙に痙攣しながら甘い吐息を漏らしている。どうやら体を撫でる風だけで快感を覚えているようだ。催淫剤が見事な仕事をしてくれて、ヒカリの身体から火照りを欠片も逃さない。それどころか、敏感になった彼女の神経は容赦なく性感を高ぶらせる。既に一度達しているヒカリは、頭の中がドロドロになっているようで、意味不明の言葉を呟きながら甘く悶えている。幼い身体が淫らに震える様は、居様な程のエロさだ。
「ね、姉さん? 姉さん、しっかり……して」
 ヒカル君は恐る恐る姉に声を掛けるが、どうにもぎこちない。おどおどしつつもヒカリの身体を舐めるように見回している。痛々しく突っ張った白のスラックスが窮屈そうだ。
「うむうむ。姉ちゃんが気になるか? ふふふ、介抱してやったらどうだ?」
「か、か、介抱?」
「そうだとも、このタオルで汗を拭ってやるといい」
 戦闘員24号からカラッカラの乾いたタオルを受け取り、ヒカルに渡し、触手を伸ばして彼を姉の間近に移動させる。ヒカルは暫く目を泳がせていたが、姉を助ける事に異議はないとでも思ったのか、タオルを広げて手を伸ばした。そして触れる。
「んああああッ! あう、あうぅっ」
 触られたヒカリは堪った物ではない。ヒカルの手つきはそれなりに優しく、そっと撫でる程度だったが、それが絶妙な刺激になったようだ。涎を飛ばして悲鳴を上げる。
「あ、姉さんッ。ごごご、ゴメン……」
 驚いたヒカルだが、姉の悲鳴がどんな種類の物であるかは理解しているらしい。トマトのように顔を赤くしてうろたえている。ただ、いよいよのっぴきならない状態になったヒカリを前に、何とか助けたいとは思っているらしい。フルフルと上下する胸元に垂れた唾液や、額にかいた汗をタオルで拭う。無論、逆効果だ。
「あっ、あっ! んあぁぁっ。ヒカっ、ヒカ――ルっ! た、助け……て。あんっ」
「姉さんっ! し、しっかり。あ、あのっ……い、今――」
「あああっ、ダメぇ――ッ! ふあああんっ、ヒカルゥ……ヒカルぅぅ」
 ヒカリは弟に身体を触られ、激しく喘いでいる。その瞳は焦点が合わず、ただヒカルの姿を鏡のように写しているだけだ。一応、脳みそは弟を認識しているようだが、理性はほとんど残っていないと見える。
 身体を拭いてあげても甘くもがくだけの姉に、ヒカルは涙目。どうして良いか分からず、助けを求めるように辺りをキョロキョロと見回して――。
「ど、どうすれば、いいの?」
 などと、よりにもよって俺に尋ねてきた。これはもう、年上として指導してあげなければならない。元より望んでいた展開だが。
「うむ! ヒカリの中で快感が荒れ狂っているようだ。このままだと精神が狂ってしまうかもしれん!」
「え、えええッ! だ、だめだよぅっ。ど、どうすれば、姉さんは……」
 俺の言葉にワザとらしくウンウンと頷くギャラリー。それを本気にしたヒカルは、オロオロしつつ悶える姉と俺を交互に見ている。大分追い詰められているな。
「うむ! ヒカリを元に戻すには、ちゃんと最後まで気持ち良くシてあげればいい」
「最後……まで? って、僕、どうしたらいいか」
 ふふふ、乗ってきたな。ムッツリ小僧め。知ってるくせに。だが、俺は敢えて突っ込まず、言葉に出して教えを授ける。加えて触手を伸ばし、彼の衣服をスルスルと脱がしていった。男の裸など全く持ってゴメンだが、ヒカルくらい線の細い少年なら許容範囲だ。
「うむ、ヒカルよ! 撫でたり擦ったり舐めたりするのだ。お前が!」
「うわわわ、何を――僕の服、って、ななな撫で……舐め……ぼぼぼ僕が?」
「そうだ。優しく可愛がってやれ、優しくな。ぐふふふふ」
「僕が……僕が、姉さんを――。僕が――姉さん、を。姉さん……姉さん」
 フラフラと蜜に誘われる蝶のようにヒカリに近付くヒカル。幼くも男を主張するペニスがピンと勃っている。やる気のようだ。薄い酸素と周囲からの熱気で、彼の理性も上手く働いてないらしい。浮かされたように姉さん姉さんと呟き、ワキワキと手の平を閉じたり広げたりと忙しない。
 期せずして観衆からヒカルコールが巻き起こった。子供同士がガチ近親相姦だ。目の色を変えて盛り上がっている。
「姉さんッ、姉さんっ!」
「あぁッ! あうあぁ――っ。ヒカ、ヒカル……だめ、だめよぅっ」
 そしてついに堪えきれなくなったヒカルは、姉の身体を好きなように弄びはじめる。理性のストッパーは完全に外れており、ヒカリの胸を力任せに揉みまくり、むしゃぶりついた。暴走する少年の性欲といった風情だ。実によろしい。
「うぐッ! んーっ! ぷは……」
「はぁ、ハァっ……姉さん、僕、僕は――っ」
 ヘッドバットのような勢いで頭を打ちつけ、口と口を激突させているヒカル。どうやらキスのつもりらしいが、ヒカリは普通に痛がっている。続けざまにギュウギュウと抱き締められて苦しそうだ。流石にこれは指導が必要だな。
「あッ! 姉さんっ、姉さーんッ」
 見かねた俺は触手を引っ張り、ヒカルを姉から引き剥がした。暴走したヒカルは泣き喚いて嫌がるが、ぐすぐすと涙を流す姉の様子に気付くと、ハッと目を見開いて項垂れた。
「うむうむ。ヒカルよ、そんな顔するな。力を抜いて優しく、だぞ」
「うん……」
 一息入れて落ち着いたヒカルを元の位置に戻す。今度は彼も無茶をせず、恐る恐る伸ばした手でヒカリの柔肌をゆっくりと撫でる。
「ふぁぁ……ヒ、ヒカルぅ。んぁ――んああっ! んっ、それ……気持ち、良い」
「ぁ、やったぁ。姉さん。姉さん――っ」
 自分の愛撫で女の子が喜ぶのは、それはそれは嬉しいものだ。感激したヒカルは、姉の痴態に目を輝かせた。そのまま調子良く手を動かす。何か妙な才能でもあったのか、たどたどしくはあるが案外的確にヒカリを責めていた。
「あっ、あっ……んあぁっ。ヒカルぅ、ヒカルぅ――ッ! うあぁんっ」
「姉さん、姉さーんっ。僕、僕は……」
 キスをこなし、舌を伸ばして口の中を犯す。乳首を摘み、胸をフワフワと揉む。最後には濡れた姉の股間に手を伸ばし、スリットにそって指を上下させている。ヒカルめ、末恐ろしいヤツなのかもしれん。
「イーッ! ダークネス・オーガストにスカウトしましょうか?」
「うん。人事部に書類回しといてくれ」
 いよいよ激しく姉に絡みだしたヒカル。ヒカリの方は元より高ぶっていた事もあってか、弟に責められて弾けるように嬌声を上げている。二度目の絶頂はもう直ぐそこのようだ。
「ふふふ。ヒカルよ、そろそろ姉ちゃんに入れてやったらどうだ?」
「い、いいい入れるっ!? え、あ……あぅ」
 ピンと反り返った自分のペニスを見つめ、ここに来て躊躇するヒカル。かと思ったらM字に開いたヒカリの股間を見つめ、ゴクリと喉を鳴らした。目が据わっている。
「ね、姉さんっ……。はぁ、はぁっ、い、行くよ。姉さんっ」
「はふ、んっ! だ、ダメぇ……ダメよヒカルぅ。んっ」
 姉の細い腰を両手で掴み、狙いを定めるヒカルだが、相当緊張しているのか、自分の腰はカタカタと震えている。やがてグッと腰を突き出すが、上手く挿入できず、ヒカリの割れ目に沿ってペニスを滑らせてしまう。
「んっ、ああああっ! ひっ、ひんっ」
「あ、ゴメ……ゴメン、姉さん。上手く、入んなくて」
 クリトリスを掠められ、悲鳴を上げるヒカリにペコペコと謝りながら、それでも二度三度と挿入にチャレンジするが、ヒカルのペニスは滑るだけだ。次第に涙目になってきた。このまま暴発でもしようものなら彼の心に一生物のトラウマが残りかねない。ここは手助けしてやるのが先達の勤めという物だろう。
「苦戦しているな、ヒカル。ここだ、ここにそれを入れるのだ。ゆっくりとな」
 俺は細い触手を数本伸ばし、熱く燃え上がっているようなヒカリの陰唇を開く。トロリと愛液が零れ、糸を引くように地面に落ちた。見た感じ、待ちきれないとでも言っているようだ。
「うわっ、な、なな何?」
「入るまで手伝ってやろう。お前は気を楽にしてろ」
「あ、は、はい……んっ」
 続けてヒカルにも極細の触手を這わす。別に愛撫するわけではない。ペニスに巻きつけて微妙に角度を調節してあげるのだ。それだけでなく、ペニスの根元をキュッと締め付けた。入れただけで出してしまったら2人とも可哀想だし、暖かく見守っているギャラリーも面白くない。
「うっ、ふっ! はぁああっ、熱い。熱いよ、姉さんっ! 姉さんの中、熱いよっ」
「んああっ、んあっ――っ! ヒカ……ヒカルっ。ヒカルっ、そんな、激し……」
 挿入が見事に決まった途端、2人は急激にヒートアップ。どちらの子も強い快感に少年少女の肉体がブルブルと震えている。クライマックスを迎えた出し物に、観衆の熱気も最高潮だ。地鳴りのようなどよめきが俺達を包んでいる。
 日曜の昼日中、某大学キャンパスにペチンペチンという柔らかな肉と肉のぶつかり合いの音が高らかに響いた。正義の味方だった姉弟は、今や性の欲望に支配される2匹の獣だ。子犬のような外見だが、潤んだ瞳や飛び散る体液は大人顔負けである。
 足はMの字、腕は真横に伸ばされて拘束された姉のヒカリ。その彼女に絡みつき、懸命に腰を振る弟のヒカル。
 実に胸を打つ光景だ。アクアマリンの友情に、勝るとも劣らない姉弟愛。ああ、人類って素晴らしい。人間最高っ!
「イーッ! でもニャルボーン様、もう人間じゃないですよね」
「放っとけよ、気付かせるなよ、心は人間なんだよっ! 怪人だけどっ」
 そろそろ24号とはじっくり話し合う必要があるようだ。俺は心のメモ帳にその旨を書きつけ、改めて絶賛近親相姦中の姉弟の様子を伺った。
 ヒカリもヒカルも言葉にならない唸り声を上げて、快楽の波にひたすら耐えている。もう、頂点までは数秒も無いだろう。
「んっ、んああっ! ヒ、ヒカ……ヒカ、ルぅぅぅぅっ!」
 そう思った直後に姉のヒカリが根を上げた。ヒカルのルを高らかに叫び、ググッと背筋を逸らす。同時に俺はヒカル君のペニスを締める触手を緩めた。既にとっくに限界を超えていた彼の射精衝動が一気に解放され、鉄砲水の勢いで精液が飛び出す。勿論、2人は繋がったままだ。弟の精液をたっぷりと受け取ったヒカリの膣は、今頃淫らに収縮してそれを貪っているだろう。
「ヒカ……ル」
「姉――さん」
 互いを呼び合って視線が交わった所で、2人は糸が切れたようにガクッと力が抜けた。揃って失神してしまったのだ。何と気の会う姉弟だろう。
 ギャラリーは大歓声に大拍手。「ブラヴォー」の叫びやピーピーという口笛が学校中は元より、近隣民家にまで響く勢いだ。
 さて。演目は完全に終了した。そろそろ撤収といこう――。
 戦闘員達に目配せすると、流石に彼らの動きは敏速で、あっという間に準備が進む。撮影機材を片付けてバスに運び込み、群衆を掻き分けて発車状況を整える。その間に俺は意識を失ってグッタリした2人を手早く濡れタオルで拭いてやる。と、今になって気付いたのだがヒカル君の衣装一式がない。どうもショタッ気のある腐女子にでも持ち去られたようだ。困ったものである。
「イーッ! でも、20万円置いていきましたよ」
「ならよし」
「イーッ! 因みに男でした」
 本当に困ったものである。
 2人は、未だ熱の冷め切らない観衆の前に残していくのは危険なので、連れ去ると見せかけて大学の保健室にでも預ける事にした。意識が戻れば自分の足で帰るだろう。服は、まぁ、保険医さんが調達してくれるに違いない。
「よし、じゃあ撤収ー」
「イーッ!」
 一声号令をかけて戦闘員を促し、俺は体長を縮めてバスに乗り込む。色々と分かっている学生達は率先して道を開いていた。日本の未来はカオスだが明るい。
 万歳三唱で悪の組織を見送る一般人と、それに答えて手を振る戦闘員という構図は実に新鮮だった。ぶっちゃけ、どうかとも思ったが。

 途中でシャイン・スターズを降ろして問答無用で保健室に預け、俺達は大学を出る。
 目標の石版は奪取できたし、予定外の収入もあった。ミッションはこれ以上ないくらいの成功である。
「イーッ! ひっひっひ、チョンチョン」
「や、止めてぇ……助けてッ、誰かぁーっ」
 因みにオークションの後、手の空いた戦闘員達が女子学生数名を予定通り拉致してきたらしい。いつの間にかバスに運び込まれ、チョンチョンと突付かれている。
「いやあ、本当に実りある日曜だな」
「イーッ! ですねえ。良かった良かった」

   /

 ここからは蛇足だが。
 オークションの売り上げは288万6千円であった。ヒカル君の衣装一式が20万で売れたので、合計308万6千円だ。我がダークネス・オーガストではミッション中に現地で獲得した現金、女などは作戦参加者にそのまま与えられる。役得というヤツだ。ただし目標未達成の場合は没収で、隠匿したりすると大変な目に合わされる。
 今回の作戦参加者は俺を含めて19名。獲得した現金を16万ずつ山分けし、残った4万6千円でポータブルDVDプレーヤーを買った。編集してDVDに焼いた記録映像と併せてヒカル君にプレゼントするのだ。
 そのヒカル君だが、調査の結果、隣町に済んでいる事が判明。ある晩、俺が怪人の特殊能力をいかしてサンタクロースばりにプレゼントを渡しに忍び込んだ。
「おや、もう寝てると思ったんだが。部屋にいないな。……って、この声は」
 どうも、姉の部屋にいるらしい。と思って耳を澄ましたら、聞こえて来たのは少女の甘い嬌声と変声期前の少年の高い唸り声。いやはや、あれ以来、姉弟でのセックスが病みつきになってしまったようだ。
 邪魔するのも野暮なので、プレゼントはヒカル君の勉強机に残し、俺は夜の闇に飛び去った。

 所で、あの2人。ちゃんと避妊をしているのだろうか。



 ――了。

モ ドル